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第1節 課題研究とは何か
◆「課題研究」の目標
化学における「課題研究」は,探究の過程を通して科学の方法を習得させ,化学
的に探究する能力や態度を育てようとするものである。このようにして物質を実際
に観察し,物質に触れ,あるいは反応を行わせることによって得られるものは,書
物から得られるものとは比較にならないほど新鮮で,強い印象を与え,また示唆に
富んでいる。化学に対する興味や関心も,観察,実験によってこそ高めることがで
きるのである。概念や原理・法則といった抽象化された事項も単に記憶すべきもの
ではなく,常に物質の示す具体的な振る舞いと結び付けて理解されることが望まし
い。
「化学的に探究する能力と態度を育てる」とは,習得した基本的な原理・法則を用
いて,自然や身の周りにある物質の変化を化学の立場から解釈あるいは説明し,ま
た化学に関わる問題に当面したときに,自分の力で解決する方法を見いだす能力を
育成することを指している。そのためには多くの知識を習得するだけではなく,知
識を応用する習慣が身に付いていなければならない。これは,観察,実験を中心と
する「探究活動」を通して訓練を行うことによりはじめて身に付くものである。し
たがって,教科書に記された通りに忠実に実験器具を扱い,予想された通りの結果
を得るだけでは,その目的は達成されない。仮説を設定して,実験によりそれを検
証し,あるいは実験をいかに行うか計画を立て,得られたデータを整理し,それか
らどんな結論が引き出せるかを考える,といった体験を積むことこそが重要である。
これらの過程の中で,コンピュータの活用を図ることも望ましい。このように,「探
究活動」を通して物質に対する興味,関心を呼び起こし,さらには創造の芽をはぐ
くむ学習効果を期待している。
教科書p.255に,「課題研究」を展開する一般的な流れ図を示してある。研究が
自発的で,自覚をもった取り組みであるほど,自分の目下の研究がどの段階にさし
かかっているかの意識が明確なはずである。実際に指導する中では,進行状況を生
徒に問いかけてはその反応に応じて忠告を与えたり,相談にのったりするのがよい。