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4節 核

 

 核酸は,新指導要領ではじめて取り上げられた項目である。

 

 

◆核酸

  核酸は,すべての細胞に含まれ,生物の遺伝現象において中心的な役割を果たし

ている物質である。窒素を含む塩基であるプリンまたはピリミジン(5種類)と炭素

5個の糖(リボースとデオキシリボース)とリン酸が結合したものをヌクレオチドと

いい,ヌクレオチドが重合したものが核酸である。核酸は遺伝子の本体といわれて

いる。

 

  ヌクレオチドの塩基がアデニン,糖がリボースのとき,アデノシン一リン酸(アデ

ニル酸AMP)となる。

 

◆核酸中の糖

  ヌクレオチドや核酸中の糖は必ずペントースで,糖がリボースの核酸をリボ核酸

RNA(ribonucleic acid),デオキシリボースの核酸をデオキシリボ核酸DNA

(deoxyribonucleic acid)という。

 

 

◆核酸塩基の塩基対

 DNA中の塩基は,アデニン,グアニン,シトシン,チミンの4種類からなってい

る。RNAはアデニン,グアニン,シトシン,ウラシルから成っている。アデニンと

チミンまたはアデニンとウラシルの間には2本の水素結合が,グアニンとシトシン

の間では3本の水素結合が可能である。このため,DNARNAの間の遺伝情報の

交換が可能となっている。

 

DNAの二重らせん

  リン酸と糖のヒドロキシ基が縮合してつくるエステル結合により,RNADNA

の高分子鎖がつくられている。リン酸分子に注目すると,リン酸ジエステル結合と

いうことになる。

 

  DNAは塩基が対応する塩基と水素結合して,二本の高分子鎖が二重らせん構造を

取っている。細胞内では右巻きらせんになっており,5’から3’へ見ていくのが習慣

になっている。細胞内のDNAB形といわれ,ほかに,脱水状態のものをA形と

いい,胞子内に存在する。別の形にZ形という左巻きらせんのものもある。

 

  DNAのつくる二重らせんは,広い溝(主溝)と狭い溝(副溝)といわれる溝が観察され

る。らせんの外側はリン酸ジエステル結合にあるヒドロキシ基が電離した –O-  が水

に接している。広い溝の中では,塩基の水素結合以外の疎水的部分が水と接している。

 隣り合った塩基対がなす角はB型で約36°10塩基対でらせんが一回りしている。

 

右巻きDNA

 

細胞中のDNA

 B-DNAはらせん1回転に10塩基対があり,1回転分の長さは3.4nmであるとする

と,ヒトの細胞の中にはDNA30億の塩基対あるので,DNA1本のせんに

するとその長さは約2mになる。

3.4×10-9[m]×30×10810×22.04[m]

二重らせんになったものは約1mであり,これだけ長いDNA1個の細胞にこん

がらがらずに入るために,DNAはきれいに整理されて細胞中で存在している。

  DNAは,ヒストンというタンパク質8個からなるヌクレオソームに約146塩基対

2巻きし,ヌクレオソームが集まってクロマチン(染色質)という繊維になっている。

クロマチン(染色質)が折りたたまれ集まって,顕微鏡で観察できる染色体になる。

 

 

 

DNAの複製

  DNAの複製では,まず二本鎖のDNAがほどかれて一本鎖DNAが二つになら

なければならない。このときDNAヘリカーゼという酵素が関係し,ジッパが壊

れて所々開いたようになる。この二本鎖が開いた部分を複製フォークと呼び,開

いた部分には,二つの複製フォークができたことになる。開いた一本鎖DNA

の塩基には,対応するデオキシヌクレオチド三リン酸が水素結合する。

二本鎖DNAがほどけて複製起点ができるところ

 

  DNAの合成は,複製フォークの一本鎖DNA上で,DNAポリメラーゼという酵

素によって行われる。DNAポリメラーゼの基質は4種のデオキシリボヌクレオチ

(dATPdCTPdGTPdTTP)であり,鋳型となる一本鎖DNA上で,DNAの合

成が行われる。

 DNAポリメラーゼは,5'のヒドロキシ基がリン酸エステルとなり3'のヒドロキ

シ基が残っているDNA断片とデオキシリボヌクレオチドの5'のヒドロキシ基に

対して作用する。そのため,DNAポリメラーゼによるDNAの合成は,一つの方

向にしか起こらない。そして複製フォーク上にプライマーRNAといわれるRNA

断片が,プライマーゼという酵素により作られる。そこを起点として,DNA

3'のヒドロキシ基とデオキシヌクレオチドが縮合反応してDNA鎖を伸ばすこと

になる。プライマーRNAは最終的に取り除かれDNAに置き換わる。

 

 

  二重らせんがほどかれると,上図の左側の鋳型DNA(DNA)上の新しいDNA

は,プライマーDNAから新しいDNAが伸びていく方向と,二重らせんが開く方

向が一致していて問題がなく,これをリーディング鎖(leading rand)という。右側の

鋳型DNA上では,DNAが伸びる方向と二重らせんが開く方向が反対になってい

る。このようなDNAをラギング鎖(lagging strand)という。図の右側では二重らせん

が開いていくたびに,プライマーRNAが新たに作られていく。

 

 

コドン

 DNA4種類の塩基のうち3つの塩基の配列は,決まったアミノ酸または情報(

伝情報の始まり,終わり)に対応している。3つの塩基の組み合わせは,遺伝暗号の

最小単位になり,1つのアミノ酸を決めている3つの塩基のつながりをコドンとよん

でいる。コドンをまとめた表が一般的である。同心円を利用したひまわり型の図(

の出図)は,対応するアミノ酸がわかりやすい。

 

DNAからタンパク質の合成

  DNAの遺伝情報は,核の中で合成される一本鎖のメッセンジャーRNA(mRNA)

に伝えられる。そして,mRNAのアミノ酸情報に対応した転移RNA(tRNA)が作

られる。1分子のtRNA1分子の特定のアミノ酸に対応している。また,リボ

ソームRNA(rRNA)もつくられる。

 3種類のRNAは核から抜け出し,細胞質の中に出ていく。tRNAは細胞質ゾル

中に溶けているアミノ酸の中から対応するアミノ酸と結合する。rRNAはリボソ

ームタンパク質と結合し,大小二つのサブユニットからなる。小さいサブユニッ

トがmRNAの開始コドンと結合すると大きいサブユニットと会合してリボソー

ムになる。リボソームは,mRNAの遺伝情報の順番に従ってアミノ酸と結合した

tRNAを受け入れる。mRNA−リボソーム−tRNAの端にあるアミノ酸が順次ペ

プチド結合で重合されてタンパク質の一次構造が完成する。

 

 

 

 








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