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第2節 合成ゴム
◆ラテックスと生ゴム
ゴム樹(何種類かあるが,主にへベアブラジリエンシスが利用されている)の樹皮
に切付けを行うと,牛乳状の樹液が流出し,これをラテックスという。ラテックス
の成分は,水60%,ゴム炭化水素36%,タンパク質2%,その他糖など2%であ
る。ゴム炭化水素は,疎水性のコロイド粒子となって分散しており,タンパク質な
どがこれを保護している。
ラテックスに少量のギ酸や酢酸,または亜硫酸ナトリウムなどを加えてゴム分を
凝固させ,これを圧延・水洗して乾燥させたものが生ゴムである。
生ゴムの主成分は,シス-1,4構造のポリイソプレン(約93〜94%)で,他に樹脂,
タンパク質,糖額などを含み,平均分子量は30万,平均重合度は4400程度である。
◆加硫
生ゴムは,温度により物理的性質が変化する。高温では可塑性となり,弾性も小
さくなる。低温では部分的に結晶となり,弾性を失う。グッドイヤーは,生ゴムに
硫黄を加えて加熱することにより,この欠点をなくした。硫黄は,ゴム分子間に橋
かけを行うので,このような効果があらわれる。一般に,ゴム分子間に橋かけ構造
をつくる操作を加硫という。
加硫に用いる硫黄の量は,普通0.3〜3.5%で,5%以下の場合は弾性の大きい
軟質ゴムとなる。30%以上のときは,硬いエボナイトとなる。
加硫促進剤として,ZnO,MgOのほか,有機化合物などが用いられる。
◆ゴムの弾性
普通の固体の弾性は,分子間力や原子間の結合力に起因し,その弾性率は非常に
大きい。また,温度による影響はほとんど受けないが,高温では少し低下する。
ゴムの鎖状分子は,らせん状の構造をとり,これが折れ曲がった糸くずのように
なって無秩序に配列している。分子間は,ところどころで架橋構造をもち,分子間
のすべりを防いでいる。加硫を行うと,架橋の数が増加し,弾性率が大きくなる。
最も弾性率が大きくなるのは,硫黄を1.5〜2.0%加えたときである。
ゴムの弾性は,ゴム分子の熟達動による。したがって,十分な弾性を示すには,
一定以上の温度が必要である。低温では結晶化し,ガラス状になる。高温では,分
子鎖がブラウン運動を行い,弾性が大きくなる。たとえば,ゴムひもにおもりをつ
るして伸ばし,これに熱湯をかけると,ゴムひもは収縮しておもりをもち上げる。
ゴムは,引き伸ばすと数倍の長さまで伸び,ゴム分子は引き伸ばされ,束状の繊
維に似た構造をとる。外力を取り去ると,分子の熱運動により元の状態に戻る。
参考 ゴム類似天然高分子化合物
グタベルカは,ガタバーチャやグッタベルカとも呼ばれ,熱可塑性である。赤鉄
科のParaquiumの葉から得られる。構造は,トランス-1,4-ポリイソプレンで,
白色で硬い。ゴルフボールの外皮や歯科充てん剤に用いられる。
チクルは,赤鉄科のAchras zapoteから得られ,トランス形とシス形の1,4-ポ
リイソプレンを3:1の混合比で含んでいる。室温では硬いが,かんでいるとしだ
いに軟化し,チューインガムの原料に使用される。
◆合成ゴム
イソプレンによく似た構造の単量体を付加重合させ,天然ゴムとよく似た性質を
もつ合成ゴムをつくることができる。単量体により,いろいろ異なった特性をもつ
合成ゴムができる。
日本でのゴム消費量は,2001年は約142.5万t,2002年は約140.1万tで,合成ゴ
ムはその6割を占める。ゴムの使用目的は,タイヤやチューブが多く,その他には,
ベルトやホースなどがある。
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合成ゴムの構造 |
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名称・略称 |
原料(単量体) |
主要構造 |
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スチレン–ブタジエン |
スチレン |
–CH2CH(C6H5) – |
18〜25wt% |
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ゴムSBR |
ブタジエン |
–CH2CH=CHCH2– |
82〜75wt% |
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ブタジエンゴムBR |
ブタジエン |
–CH2CH=CHCH2– |
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イソプレンゴム |
イソプレン |
–CH2C(CH3) =CHCH2– |
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ブチルゴムIIR |
イソブテン |
–CH2C(CH3)2– |
99〜96wt% |
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イソプレン |
–CH2C(CH3) =CHCH2– |
1〜4wt% |
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クロロプレンゴムCR |
クロロプレン |
–CH2CCl=CHCH2– |
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アクリロニトリル– |
アクリロニトリル |
–CH2CH(CN) – |
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ブタジエンゴムNBR |
ブタジエン |
–CH2CH=CHCH2– |
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フッ素ゴムFKM |
CF2=CH2,CF2=CFCF3 |
–CF2CH2–,–CH2CF(CF3) – |
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シリコーンゴムQ |
(Si(CH3)2O) 4 |
–Si(CH3)2O – |
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合成ゴムの性質 |
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名称 |
使用温度〔℃〕 |
耐性のよい性質・物質 |
名称 |
使用温度〔℃〕 |
耐性のよい性質・物質 |
|
SBR |
−42〜120 |
摩耗性,水蒸気 |
CR |
−32〜130 |
摩耗性,気候 |
|
BR |
−73〜120 |
反発弾性,摩耗性,寒 |
NBR |
−42〜130 |
油,水蒸気 |
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IR |
−50〜120 |
弾性,摩耗性,寒 |
FKM |
−10〜300 |
熱,気候,酸,炎 |
|
IIR |
−60〜150 |
屈曲,気候,油,酸塩基 |
Q |
−70〜280 |
熱,寒,塩基,水蒸気 |