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第3節 染料と洗剤
►ジアゾ化
芳香族第一級アミンと亜硝酸の反応により,-N2+をもつジアゾ化合物をつくる
反応をいう。アミンを塩の形,または薄い酸に溶かして懸濁し,亜硝酸ナトリウム
を加えて冷やしながら反応させるのが一般的な方法である。
RNH2+NaNO2+2H+→RN2++Na++2H2O
►アゾ化合物
アゾ基-N=N-をもつ化合物をいう。アゾ化合物はアゾベンゼンの誘導体が多い。
アゾ基は強力な発色団であり,アゾ化合物は,黄橙,赤などの色をもっている。普
通の芳香族アゾ化合物はすべて結晶である。-NH2,-OH,-SO3Hなどの置換基をも
つアゾ化合物は.アゾ染料として使われている。

メチルオレンジは,酸性ではH+が付加して,次のように変色し赤色となる。
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メチルオレンジの発色はアゾ基によるものであるが,酸性ではベンゼン環がキノン
構造(
)をとり,そのため赤色となる。このように発色の原因となる基を
発色団といい,発色団は特有の波長の光を吸収して,その補色が現れる。食品用の
アゾ色素を以下に示す。

►カップリング(ジアゾカップリング)
芳香族ジアゾニウム化合物R-N2+X-が,ある種の化合物H-R¢と容易に反応し
て,次式のようにアゾ化合物R-N=N-R¢を生成するとき,この反応をカップリ
ングまたはジアゾカップリングという。
R-N2++H-R¢→R-N=N-R′+H+
ジアゾ化合物をつくるアミンR-NH2をジアゾ成分,カップリングされる化合物
H-R′をカップリング成分という。カップリング試薬には,芳香族アミン,芳香族
オキシ化合物などがある。
►セッケンの製造
セッケンは,広義には脂肪酸の金属塩の総称であるが,普通,ナトリウムやカリ
ウムのアルカリ金属塩をさし,その他のものは金属セッケンと呼んで区別されてい
る。また,アルカリセッケンは,硬セッケンと軟セッケンに区別される。
硬セッケンの製造は,大別すれば次の2種類がある。
(1) 油脂に水酸化ナトリウム溶液を加え,けん化釜で長時間加熱してけん化させ,
食塩水で塩析する。
(2) 油脂を過熱水蒸気で加水分解して脂肪酸とグリセリンに分離し,脂肪酸に水酸
化ナトリウム溶液を加えて中和する。
得られたセッケンは,乾燥後,香料・着色料・ビルダーなどと混合され,成型,
型打ちされて製品となる。
◆脂肪族化合物の反応
セッケン水中では,油分(汚れ)に多数のセッケン分子が親油性部分で結びつく。
繊維に付着した汚れは,セツケン分子に取り囲まれ,微少な油滴となり繊維から離
れて水中に分散する。このような乳化作用により,結果として繊維の汚れが取れて
洗浄される。写真(教科書p.169,図47)は,乳化作用により汚れが繊維から離れようとして
いる瞬間をとらえたものである。
►乳化作用
極性のある水分子と無極性の油分子とは混じり合わないが,これらも分子中に親水
性の基と疎水性の基とを合わせもつ物質,すなわち両親媒性の物質を加えることによ
って,混合させることができる。この物質を乳化剤という。
たとえば,分子中に極性の強い親水性のカルボキシル基-COOHと,無極性の疎
水性のアルキル基-CnH2n+1をもつセッケンCnH2n+1COONaがその例である。
水と油とを入れた容器にセッケン水を加えて激しく振ると,下図のように,何個かの
セッケン分子が油の小滴を中心にして,疎水性の基を内側,親水性の基を外側にして
球状に集合し,コロイド粒子となり,この粒子が水の中に分散する。これが乳化作用で
ある。

►合成洗剤
セッケン以外の洗剤を合成洗剤という。合成洗剤には主に陰イオン界面活性剤が
用いられ,これにビルダーや螢光増白剤の添加剤が配合されている。ビルダーは,
洗剤の性能を著しく向上させる作用をもつ物質で,かつてはトリポリリン酸ナトリ
ウムが用いられていた。しかし,ビルダーのリン酸化合物は,湖沼の富栄養化を促
進するので,その配合率が次第に低下し,ゼオライトが用いられるようになった。
合成洗剤に用いられる界面活性剤には,アルカリベンゼンスルホン酸塩,アルカ
ンスルホン酸塩,α‐オレフィンスルホン酸塩,硫酸アルキル(ポリオキシエチレン)
塩,アルキルポリオキシエチレンエーテルなどがある。
日本の界面活性剤生産量は年に約100万tで,その64%が家庭用合成洗剤に用
いられている。1960年代以後,合成洗剤による水質汚濁が問題となり,特に多量
に用いられているアルキルベンゼンスルホン酸(ABS)が問題となった。ABSは
0.01ppmで藻類や硝化菌,15ppmで大腸菌を死滅させることもある有毒な物質で,
安定で分解しにくく,5〜10ppmで飲み水に異様な味臭を与える。ABSの微生物
分解が多く研究され,従来の枝のあるアルキル基(ハード型)に対して,分解がより
容易である直鎖型(ソフト型)のABS(LAS)が,その後用いられるようになった。
参考 界面活性剤
2相間の界面張力が,少量の物質の溶解で大きく低下することを界面活性といい,
界面活性を示す物質を界面活性剤という。界面活性剤は,その構造により,次の(1)
〜(3)のように分類される。水に溶けて電離するものをイオン活性剤といい,セッケ
ンと同様のしくみで働く。水に溶けて電離しないものを非イオン活性剤といい,
-OH基などが親水基として働く。非イオン活性剤は,他の活性剤と混合して使用
でき,疎水基の変化に応じて親水基の強弱を自由に変えることができるので,利用
範囲も広い。
(1) アニオン活性剤
@ セッケン類 RCOO-M+ (例)アルカリセッケン,金属セッケン
A 硫酸化物 ROSO3-M+ (例)ロート油,高級アルコールの硫酸エステル
B スルホン化物 RSO3-M+ (例)脂肪族スルホン化物,アルキルアリルスルホン化物,
芳香族スルホン化物
(2) カチオン活性剤
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R,A1,A2,A3はH,アルキル基,芳香族炭化水素基など X-はCl-,Br-,I-など |
(例) 高級脂肪族アミン,ジアミン誘導体,第四級アンモニウム塩
(3) 非イオン活性剤
@ エステル型 CH2(OH)CH(OH)CH2OOCR
A エーテル型 RCH2O(CH2CH2O)nH
また,界面活性剤の用途としては,(1) 洗浄剤,(2) 湿潤剤,浸透剤,
(3) 分散剤,凝集剤,(4) 乳化剤,乳化破壊剤,(5) 可溶化剤,
(6) 起泡剤,消泡剤,(7) 平滑剤,減摩剤,柔軟剤,帯電防止剤,撥水剤,
(8) 殺菌剤,(9) 防錆剤,などがある。


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