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後見返し

典型元素の原子とイオンの大きさ

主な合成高分子化合物の系統図

 

 技術革新があらゆる科学技術の部門で急ピッチに進められつつある。このような

潮流の中で,化学工業に寄せられる期待と役割は,ますます大きくなりつつある。

エチレンプラントの夜景は,我が国の産業基盤を支える

重要な役割を果たしている。石油ガス類としてのエチレン,プロピレンをはじめ,

芳香族炭化水素のベンゼン,トルエン,キシレンなどこのプラントから製造される

石油化学製品は,種々の化学製品の原料となり,工業分野から生活関連分野に至る

まで,広く社会に行き渡っている。例えば,住宅,自動車,電気,塗料などあらゆ

る産業に渡って,我々の日常生活に貢献している。一方,これらのプラントは,海

外への技術輸出により,広く内外で高い評価を受けている。

 

◆典型元素の原子とイオンの大きさ

 原子の大きさは,単体や化合物中の原子間の最短距離から求められ,結合や化合

物の種類,温度などで異なってくる。ここでは,化学便覧改訂4版基礎編II巻のデ

ータに基づいて,金属元素では単体から求めた金属結合半径で,非金属元素では分

子中の単結合から求めた共有結合半径で,希ガスでは分子間距離から求めたファン

デルワールス半径で示した。

 イオンの大きさは,イオン結晶から求められ,化合物や結晶格子の種類で異なり,

また基準イオンの半径の決め方などで異なってくる。出典は原子半径と同じで,6

配位のデータを中心にして示した。この値はShannonらが実測値から整理したも

のである。

 原子やイオンの大きさは,同族元素では−般に原子番号が大きいほど大きくなる。

これは,電子がより外側の電子殻に入っていくためである。同周期元素では,一般

に原子番号が大きいほど小さくなる。これは,電子が同じ電子殻に入っていくのに

対して,原子核の正電荷がしだいに増加し,原子核がクーロン力により電子をより

強く引きつけるためである。

 同一元素の原子やイオンでは,電子数の少ないほど原子核が電子を強く引きつけ

るので,大きさの関係は,陽イオン<原子<陰イオン,の順になる。電荷数の異な

る陽イオンでは,電荷の大きいほどイオンは小さくなる。

 

主な合成高分子化合物の系統図

(1) 原油  石油の主成分は炭化水素であるが,その組成は石炭とはかなり異なり,

 また産地により多少異なる。原油は各種炭化水素の混合物であり,炭化水素以外

 に,少量の硫黄化合物,含窒素化合物,含酸素化合物,金属を含む化合物が存在

 する。原油の元素組成は,炭素:8287%,水素:1115%,硫黄:04%,

 窒素01%,酸素02%である。原油中の炭化水素は,(a)パラフィン系炭化

 水素,(b)ナフテン系炭化水素,(c)芳香族炭化水素からなり,(a)(b)8090

 を占める。原油中にはオレフィン系炭化水素,アセチレン系炭化水素はほとんど

 含まれていない。

(2) 日本の石油化学工業  石油化学とは石油中の炭化水素を原料とする有機合成

 化学に対して用いられる。石油化学工業とは,石油中の炭化水素を化学的加工に

 より基礎原料(エチレン,プロペンなど)や化学工業用中間体(アセトアルデヒド,

 酸化エチレン,ベンゼン,各種重合用ビニルモノマー),さらにポリエチレン,

 ポリスチレン,ポリ塩化ビニルなどの最終製品を製造する工業をさす。

  1955年に政府は,石油化学育成対策に取り組むことを決定し,1958年にエチ

 レン製造を目的とするナフサの分解が開始されたのを出発点として,その後,中

 東での油田開発,プラスチックや合成繊維などの優れた製造技術の欧米からの導

 入に支えられ,石油化学工業は大きく発展した。石油精製工業と石油化学工業の

 関係および石油化学主要生産品目とその主な用途を次に示す。

 

 

石油化学主要生産品目とその主な用途

原料炭化水素

主要石油化学製品

主要用途または誘導品

エチレン

低密度ポリエチレン

フィルム,加工紙(ラミネート),電線被覆

高密度ポリエチレン

成形品,フィルム,パイプ

塩化ビニル(モノマー)

ポリ塩化ビニル樹脂

酸化エチレン

ポリエステル繊維,界面活性剤

アセトアルデヒド

酢酸,酢酸エステル,可塑剤

プロピレン

ポリプロピレン

成形品,フィルム,合成繊維

アクリロニトリル

アクリル繊維,合成ゴム

プロピレンオキシド

ポリウレタン,ポリエステル樹脂

アクリル酸,アセトン,

アクリル樹脂,溶剤,

イソプロパノール,フェノール

フェノール樹脂

ブタノール,オクタノール

可塑剤,塗料溶剤

C4留分

ブタジエン

合成ゴム

芳香族化合物

ベンゼン

ポリアミド繊維(ナイロン),合成洗剤,染料

トルエン

溶剤

キシレン

ポリエステル繊維,溶剤

スチレン(モノマー)

ポリスチレン,合成ゴム

 

(3) 芳香族炭化水素(ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,スチレンなど)の製法

 以前は石炭工業で供給されていたが,今日その大部分は石油化学工業による。

 @改質ガソリンからの抽出法

   改質ガソリン中には50%以上の芳香族成分が含まれ,プラットホーミング

  法(450500℃,1000050000hPa,触媒:PtClAl2O3SiO2),ハイドロ

ホーミング法(450550℃,20000 hPa,触媒:MoO3Al2O3SiO2)などの接触改

質法がある。

Aアルキルベンゼンの水素化脱アルキル法

   アルキルベンゼン類を数十気圧の水素加圧下600800℃に加熱するか,触

  媒としてMgOAl2O3Cr2O3Al2O3などを用い,550650℃に加熱すると,脱

  アルキル化が起こり,ベンゼンが生じる。

Bエチルベンゼン・スチレンの製法

   エチルベンゼンはスチレンの原料として重要であるが,留分から分

  離される量は需要全体の20%を満たさず,大部分を触媒(固体リン酸触媒,塩

  化アルミニウム,ゼオライトなど)下,300℃,2000060000 hPaで,エチレン

とベンゼンを反応させ製造する。一方,スチレンは,エチルベンゼンを水蒸気

とともに550600℃で触媒(酸化鉄(III)−酸化クロム系触媒)上に通して脱水素

させてつくる。その他,Halcon法などもある。

 

 

◆高分子化学工業の合成過程

 主に石油を原料とした高分子化合物の合成過程の概要を

示したものである。

(1) ベンゼンからスチレン生成

  C6H6C2H4C6H5-CH2CH3   (触媒はAICl3BF3など)

  C6H5CH2CH3C6H5-CHCH2H2 (600℃,触媒はFe2O3など)

(2) ベンゼンからカプロラクタム生成

  C6H63H2C6H12 (シクロヘキサン生成)

  C6H12O 2C6H10O(シクロヘキサノン)H2O(触媒はCo)

  C6H10ONH2OH0.5H2SO4(硫酸ヒドロキシルアミン)

    C6H10=NOH(シクロヘキサノンオキシム) H2O0.5H2SO4

  C6H10=NOH→(CH2)5CONH(カプロラクタム)  (発煙硫酸中)

  カプロラクタム製造には,他にいろいろな方法があり,原料としてトルエンや

 フェノールも用いられる。

(3) フェノールからアジピン酸,ヘキサメチレンジアミン生成

  C6H5OH3H2C6H11OH(シクロヘキサノール)

  C6H11OH8HNO3HOOC-(CH2) 4-COOH8NO25H2O

  HOOC(CH2) 4COOH2NH3NC(CH2) 4CN4H2O

  NC(CH2) 4CN4H2H2N(CH2)6NH2

(4) アセトンからメタクリル樹脂生成

  CH3COCH3HCNCH3C(CN)(OH)CH3 (アルカリ触媒)

  CH3C(CN)(OH)CH3H2SO4CH2=C(COOCH3)CH3NH4HSO4

  イソプチレンから合成する方法もある。

(5) プロピレンからアクリロニトリル生成

  CH2=CHCH3O2CH2=CHCHOH2O

  CH2=CHCHONH3CH2=CHCNH2H2O

  2CH2=CHCNH2O22CH2=CHCN2H2O

(6) アンモニアから尿素,メラミン生成

  2NH3CO2NH2CO2NH4(カルバミン酸アンモニウム)

  NH2CO2NH4CO(NH2)2H2O

  6CO(NH2)2C3N3(NH2)33CO6NH3 (400℃,触媒Al2O3)

(7) エチレンからエチレングリコール生成

  

 

(8) 酢酸から酢酸ビニル生成

  2CH2CH22CH3COOHO22CH2CH(OCOCH3)H2O

              (触媒Pd,約150200℃,500010000hPa,気相反応)

  アセチレンへの酢酸付加でも製造されている。

(9) エチレンから塩化ビニル生成

C2H4Cl2C2H4Cl2(1,2-ジクロロエタン)    (触媒FeCl3)

2C2H44HClO22C2H4Cl22H2O   (触媒CuCl2,約300)

  C2H4Cl2C2H3Cl(塩化ビニル)HCl    (700040000hPa450650)

アセチレンから合成する方法もあるが,現在は行われていない。

 

 

参考 石油,原油
 石油の成因にはいろいろな説があるが,プランクトンや陸上の有機物などが海底
に沈み,そこに土砂が堆積して,その下でこれらが複雑な変化をして生じたといわ

れている。

原油の性質

国   名

サウジアラビア

イラン

インドネシア

中国

原 油 名

アラビアン
ライト

イラニアン
ヘビー

スマトラ
ライト

大慶

原  油

比  重(d415)

0.852 

0.870

0.847

0.859

蒸 気 圧[kgcm2

0.25

0.50

0.13

0.14

動粘度(50°C)cSt

6.90

6.8

9.67

17

流 動 点[°C

15以下

35以下

32.5

32.5

ろ う 分[wt%]

2.8

3.7

13.0

35.0

硫 黄 分[wt%]

1.72

1.7

0.06

0.11

残留炭素分[wt%]

3.1

5.1

2.5

2.43

灰   分[wt%]

0.01

0.01

0.01以下

水 泥 分[vol%]

0.20

0.1以下

0.1以下

3.0

水   分[vol

0.15

0.1以下

0.1以下

2.8

塩   分[wt%]

0.005

0.0015

0.005

0.005

収  率

vol%]

ガソリン留分

25.0

20.2

14.5

10.1

灯油留分

13.5

12.5

9.0

5.4

軽油留分

13.5

13.8

12.5

14.4

常圧残油

48.0

51.9

64.0

70.1

常圧残油

硫 黄 分[wt%]

3.0

2.6

0.14

0.13

窒 素 分[wt%]

0.14

0.40

0.21

ニッケル  ppm

9

55

14

3

バナジウム[ppm

30

175

5

4

 油井からくみ上げられたままの石油を原油という。原油の主成分は炭化水素だがそ
の種類が多いので,組成を完全に知ることはできない。また,産地により組成が大き
く異なる。アルカンとシクロアルカンが主で,芳香族炭化水素が多く含まれているも
のもあるが,アルケンは殆ど含まれていない。

 炭化水素以外の成分として,硫黄,窒素,酸素,金属などがある。硫黄は0.1

7.5%含まれ,13%のものが多い。窒素は0.050.4%程度含まれている。酸

素は有機酸やフェノール類として含まれている。灰分は0.010.05%で,その中

ではバナジウムとニッケルが多く,次いで銅や鉄が多い。

 

参考 原油の分留

 原油を処理して各種石油製品をつくることを石油精製という。石油精製の工程の

初めに,原油中の各種成分を,その沸点の違いを利用して蒸留により分離する。

これを分類(分別蒸留)といい,沸点の低い方から,ガス,軽質ガソリン,重質ガ

ソリン,灯油,軽質軽油,重質軽油,残油の各留分に分けられる。残油は更に減

圧蒸留され,減圧軽油と減圧残油に分けられることもある。各留分のおよそ沸点範

囲は,ガソリン180°C以下,灯油250°C以下,軽油320°C以下,残油320°C以上で
ある。

 ガスはC3C4の炭化水素が中心で,液化石油ガス(LPG)として使われる。軽質

ガソリン留分は,自動車ガソリンの混合基材とされる他,石油化学用原料のナフサ

として使われる。重質ガソリン留分は,オクタン価が低いので,接触改質されて自

動車ガソリンに混合される。灯油留分は,灯油や航空タービン燃料として用いられ

る。軽質軽油留分はディーゼル軽油として利用される。重質軽油留分は重油の混合

基材としたり,接触分解用の原料となる。減圧軽油は,接触分解でガソリン留分や

軽油留分を採取する。減圧残油は重油の基材やアスファルトとして用いられる。

 

 精留塔を用いて分留された原油の各留分は,石油タンクに保存される。低沸点の

プロパンやブタンはLPGLiquified Petroleum Gas)として燃料に,C4C9のナフサは

触媒を用いて水蒸気とともに熱分解されて,エチレン,ベンゼン,トルエン,キシ

レンなどに変えられる。これらの有機化合物を出発原料として,いろいろな石油化

学製品が一貫して,それぞれ石油化学コンビナートで生産されている。

 

 

 








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