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4節 元素の性質と周期表

 

 

A 元素の周期表

周期律

周期律

 原子番号の順に元素を配列すると,周期的に性質の似た元素が現れるという内容

の法則。原子番号と原子の電子配置との関係が明らかでなかった時代に,原子量

の小さいものから順に元素を並べることにより発見された。原子番号の順と原子量

の順とが入れ替わっているのは,放射性元素を除いて3か所(18Ar39.94819K

39.098327Co58.933228Ni58.6952Te127.6053I126.9045)である。

これは後に,若い原子番号の元素に質量数の大きい同位体が多く含まれるためと説

明され,矛盾は解決した。そして,1914年に発見されたモーズリーの法則により,

原子番号の正確な意味がわかり,周期律は原子番号の順序で考えるべきであること

が明らかにされた。
 周期律を示す事柄はいろいろある。マイヤーは融点や原子体積などの周期性を
1869
年に見いだした。また,メンデレーエフは原子価,化合物の形式などの周
期性を見いだした。その他,イオン化エネルギーや,典型元素の単体の融点など

もその例である。


周期表

メンデレーエフの周期律の長所

  メンデレーエフの周期律は,ある形式の表をまとめたというだけでなく,表をつ

くる基本的な考え方において,彼の名を輝かしいものとした。その理由に,次の2

点がある。
(1)
 不正確な原子量を,表中の元素の縦・横の関係から訂正した。1863年に発見
 されたインジウムInは,当量が37.8とわかっていた。ところが,原子価が2
 と考えられていたために,原子量は37.8×275.6とされていた。彼は,周期表
 上の1価・2価の原子価の位置が,どこも既知元素で占められていることや,密
 度・融点・酸化物の性質などからIn3価ではないかと考え,37.8×3113.4
 を原子量とした。そうすると,ちょうどCdSnの間の空欄にあてはまった。

メンデレーエフの予測した元素と実際の元素との性質の比較

性質

エカアルミニウム

ガリウムGa

 

性質

エカボロン

スカンジウムSc

原子量

68

69.9

 

原子量

44

43.97

比 重

5.5

5.94

 

比 重

3.0

2.5

融 点

低い

30°C

 

硫酸塩

Sc2(SO4)3

水に不溶

Sc2O3

水に不溶

空気中

での変化

変化しない

酸化されにくい

 

酸化物

Sc2O3

Sc2O3

水との

反応

赤熱すると水

を分解

高温で水を分解

 

 

比重3.5

比重3.864

 

 

 

 

塩化物

弱塩基性

弱塩基性

化合物

一種のミョウ

バンをつくる

NH4Ga(SO4)212H2O

 

 

ScCl3

ScCl3

酸化物

Ga2O3

Ga2O3

 

 

昇華性固体

800°Cで昇華

塩化物

GaCl3

GaCl3

 

 

水に溶けて

分解

水に溶けて加水分解

 同様の考察から,Ce92138に,U120240というように,数種の元素
 の原子量を訂正した。
(2)
 当時,未発見の元素の性質を,周期表の縦・横の元素の関係から予測し,新元
 素発見の手がかりをつくった。前ページの表は,エカアルミニウム(後に発見さ
 れガリウムと命名)とエカボロン(後に発見されスカンジウムと命名)についての,
 彼の予測と実際のものの性質の対比である。

周期と族

族の名称

 1(Hを除く)はアルカリ金属,2族のCaRaはアルカリ土類金属,17族はハロ

ゲン,18族は希ガス (不活性気体)とよばれる。3族では,第6周期のLaLuをラ

ンタノイド,第7周期のAcLrをアクチノイドとよぶ。また,3族全体,あるい

は,これからアクチノイドを除いて希土類とよぶこともある。

 

典型元素と遷移元素

典型元素

 典型元素とは,遷移元素に対してつけられた名称で,一般に周期律に従って,典型

的に周期性を示す元素である。典型元素では,最外殻の電子数が族番号の1桁目と一

致しており,価電子を除いた内側の電子殻は,s2p6の希ガスの電子配置か,s2p6d10

電子配置をとる。たとえば,第3周期元素では,ネオンの電子配置(1s22s22p6)の外側

の電子殻(3s3p)に電子が順次入っていく。

 典型元素に属する金属元素では,化合物は一般に無色のものが多く,単体は融点が

低く,あまり硬くない。これらは,遷移元素とのきわだった相違点である。非金属元

素は,すべて典型元素に属する。

遷移元素

  遷移元素は,もとは過渡的な元素という意味であった。しかし,現在では,「不完

全に電子が満たされたd軌道をもつ元素,またはそのような陽イオンを生じる元素」

と定義され,周期表の311族の元素をさす。
 遷移元素の電子配置の特徴は,原子番号の増加とともに,それまで空席のまま残
されていた内殻のd軌道またはf軌道に電子が順次入っていくことである。
 このように電子の充てんの順序が逆になるのは,電子軌道のエネルギーの高低と関
係がある。たとえば,21Scから29Cuまでの元素の電子配置については,K殻・L殻を除
いて表のようになる。このような電子配置になる理由は,図からわかるように, 3d

道のほうが4s軌道よりエネルギーが高いからである。すなわち,低エネルギーの軌道

から電子が順に満たされる原則に従い,まず4s軌道,次に3d軌道に電子が満たされ
ていく。
 なお,電子軌道のエネルギー準位は,実際には図のように固定したものではなく,原

子番号の増加につれて電子軌道のエネルギー変化の図のように変化する。

12族の30Zn 48Cd80Hgは,厳密には遷移元素ではないが,電子配置や化学的性質が

遷移元素に似ており,従来は遷移元素に含めて扱ってきた。

 

電子軌道のエネルギー準位