トップ新編生物I 改訂版>第6部 環境と植物の反応>第1章 植物の生活と環境A 環境と植物

A 環境と植物

 

環境と生物の関係については「生物U」で詳しく学習するが,ここでは光合成や蒸散が環境条件に影響を受けていることや,季節変化に伴う環境条件の変化などが植物の生活にどのように影響しているかについて学習する。

 

◆環境要因

生物を取り巻く環境を構成する個々の要因を環境要因という。環境については様々なとらえ方や分け方があるが,ふつうは大きく無機的環境要因と生物的環境要因に分ける。さらに,それぞれの要因を下表のように細分することができる。また,クレメンツは無機的環境が生物に及ぼす影響を作用と呼び,その逆に生物がその生活の結果として環境に影響を与えることを反作用と呼んだ(1916)。このように無機的環境と生物とはお互いに影響を与え合っている。一方,捕食者と被食者の関係のように生物どうしも互いに影響を与え合って生活しいている。この関係を相互作用とよぶ。

 

表 環境要因

無機的(非生物的)環境要因

@温度要因(気温・水温など)    A光要因(光の強さ・波長など)

B大気要因(酸素濃度・二酸化炭素濃度・湿度・気圧・風・雲など)

C水要因(降水量・土壌含水量・波や潮の干満・塩分濃度など)

D土壌要因(粒度・塩類濃度)    Eその他(重力・磁力・放射線量など)

生物的(有機的)環境要因

@種内関係(同種の個体間)にある要因(異性間の関係・親子間の関係・種内競争など)A種間関係(異種の生物間)にある要因(捕食・寄生・共生など)

*ただし,生物的環境要因は生きている生物だけに限定されるが,有機的環境要因には生きている生物以外に,生物の遺体や排出物などの有機物を含む。

 

◆限定要因

制限因子ともいう。生物現象に関係する様々な環境要因のうち,その現象の性質や大きさ・速度などを制限する主要な要因を限定要因という。他の要因が多少増減してもほとんど影響を受けないが,その限定要因のわずかな変化は全体に大きく影響する。例えば,緑色植物の行う光合成には光の強さや温度・二酸化炭素濃度など様々な環境要因が影響を与えるが,このうち,温度は適温で光も十分であっても,二酸化炭素濃度が不足すると,光合成速度は著しく制限される。

限定要因はリービッヒ(1843)が提唱した,植物の収量は最も少量に存在する無機成分によって支配されるという「最少量の法則」を生物現象全体に拡張したものとも考えることができる。

 

◆季節変化と植物の生活史

植物と環境の関係を考える際に,日本のような温帯では季節の移り変わりに伴って気温や降水量・日長時間などが変化することに対応して,開花・結実・発芽・成長などの植物の生活史が調節されている現象は非常にわかりやすい例となる。この現象は単に環境要因の変化に対応して植物が反応しているだけではなく,このような季節による環境要因の変化を植物がシグナルとして受け取り,植物体内で何種類かのホルモン量が増減するなどの生理的な変化が生じ,その複合的な結果として,花芽の形成や開花・果実の結実や種子の発芽・落葉や休眠などの反応が見られると考えられている。

 

 








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