トップ新編生物I 改訂版>第5部 体液と恒常性>第1章 恒常性D 血液の成分

D 血液の成分

 

◆血液の働き

体重60kgの成人には,約4.8lの血液が含まれ,約1分間で全身をめぐっている。

血液には次のような作用がある。

@ 肺からの酸素,腸壁から吸収した栄養素を全身の組織へ運ぶ。

A 組織でつくられた二酸化炭素や不要物質(老廃物)を排出器官(肺や腎臓,肝臓など)に輸送する。

B 白血球(リンパ球を含む)の抗菌作用や,血清中の抗体等により身体を守る。

C 血小板と血しょうなどにある血液凝固因子により止血する。

D 血しょう中にある100種以上のタンパク質により,生命維持に大きな役割をはたす。

E 酸塩基平衡(pH緩衝作用)・浸透圧平衡などの,体液の物理,化学的環境の調節をする。

 

 

 ●血液データ

正常値

赤血球数

410530/μl ♀380480/μl

(個人差あり)

ヘモグロビン濃度

1418g/dl  ♀1216g/dl

 

ヘマトクリット値(血液

中の赤血球の割合)

4052%   ♀3648

 

赤血球の寿命

寿命平均約120(毎日約200億個が生産される)

 

白血球数

40009000/μl(うちリンパ球3050)

 

血小板数

1235/μl

 

総タンパク質(血清中)

6.58.2g/dl

 

血糖値(食前)

60110mg/dl

 

カルシウム

8.510.5mg/dl

 

pH緩衝作用

 血液の水素イオン濃度(pH)は約7.4で弱アルカリ性である。この値が,酸性(pH6.95)で昏睡状態,少しアルカリ性に傾くと(pH7.7),けいれんを起こしたりする。重炭酸ナトリウムやリン酸ナトリウム等の働きで平衡を保つ。

 

 

●酸素と二酸化炭素の運搬

ヘモグロビン

ヘモグロビンの分子は,αβ2種類2個ずつのサブユニットからなっている(4量体)。その各々のヘムの部分のFeが酸素と結合することができる。ヘモグロビンのサブユニット(1量体)は,筋肉中に存在するミオグロビンによく似た構造をもっている。

 

しかし,酸素濃度と結合酸素量の関係は,単量体のミオグロビンと四量体のヘモグロビンとでは大きな差がある。へモグロビンは,低酸素濃度にあっては,どの単量体にも酸素が結合しにくいが,どれかに酸素が結合すると,他のサブユニットの構造変化が起こって,酸素の結合がしやすくなり,急に酸素ヘモグロビンの割合が増す。

 また,ミオグロビンの酸素結合性は,水素イオン濃度や二酸化炭素であまり変わらないが,ヘモグロビンでは酸素親和性が変化し,pH一定でCO2濃度が増すと酸素親和性が下がる。活発に代謝している組織ではCO2Hが生じ,そのため,毛細血管では酸素ヘモグロビンからO2が離れやすい。逆に,肺ではO2分圧が高いので,HCO2が追い出される。

   () HbO2H HHbO2 (組織)

 

 

二酸化炭素の運搬

二酸化炭素の血液中の溶解度は,酸素に比べて高いが,それでも100cm3あたり3cm3 (酸素は0.3cm3)にすぎない。しかし,静脈血には100cm3あたり50cm3も溶かしこんでいる。大部分は重炭酸イオン(HCO3)として存在している。これは,赤血球内にある炭酸脱水素酵素によって生じる。

 肺では逆向きの反応でCO2が放出される。静脈血のCO210%はヘモグロビンと結合して運搬される。

   () CO2H2O  H2CO3  HCO3H(組織)

(赤血球)  (血しょう)

 

 

 

 








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