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C 減数分裂

 

◆減数分裂の意義

精子や卵など生殖細胞には,染色体数がふつうの体細胞(2n)の半数(n)しか含まれていない。これは生殖細胞が形成される過程で,染色体数の半減が起こるからである。この特別な細胞分裂のことを減数分裂という。減数分裂の結果できた生殖細胞(n)は,やがて受精により2個合一し,受精卵はもとの染色体数2nとなる。このような減数分裂のしくみによって,生物は種による一定の染色体数が保持され,親→子→孫へと代々受け継がれるのである。

 

相同染色体

体細胞の染色体を観察すると,形・大きさが同じである染色体が2本ずつある。この一対の染色体を相同染色体という。相同染色体は,もともと精子からと卵から1本ずつ伝えられてきたものである。それゆえ,生殖細胞が形成されるときには,染色体数が半減する減数分裂が生じ,相同染色体は1本ずつ別々の生殖細胞に入ることになる。

 

◆減数分裂の過程

減数分裂の過程は,生物の種類によって差が見られるが,一般的な過程をややくわしく示すと次のようになる。

第一分裂〔前期〕染色質の部分に糸状の染色糸が見られるようになり,それらのうち相同のものどうしが対合する。その後,染色糸が太く短くなって染色体となると同時に,相同染色体どうしが接着した状態となる。この状態の染色体を二価染色体という。次に,染色体の中に縦裂が見られ,二価染色体は4本の染色分体の束のような形をとるようになる。核小体と核膜は消失している。

〔中期〕二価染色体が赤道面に並ぶ。この時は,教科書では模式的に図Aのように描いたが,実際には,図Bのように接着した状態となり,一部で図Cのような染色分体の交さ(キアズマ)が生じ,遺伝子の組換えが行われることがある。

〔後期〕二価染色体を形成している1本ずつの染色体が両極に移動する。

〔終期〕両極に集まった染色体のまわりに核膜があらわれるが染色体はあまり変化せず,間期をはさまずに第二分裂へと移行する。

第二分裂〔前〜終期〕体細胞分裂と同様に各染色体が赤道面に並び,染色分体が分離して両極へ移動後,染色糸にもどり,核膜と核小体が形成される。

 

◆体細胞分裂と減数分裂

体細胞分裂と比較して,減数分裂の特徴をまとめると,次の表のようになる。減数分裂の第二分裂は体細胞分裂とよく似ているが,二価染色体が現れる第一分裂を中心に減数分裂の過程をていねいに説明したい。その際,二価染色体が赤道面に並ぶとき,接着した2本の染色体のいずれが,立体的に考えてどのような位置にくるかはまったく偶然によるものであり,その結果,第一分裂で生じる2つの細胞のいずれに父方に由来する染色体と母方に由来する染色体が何本ずつ含まれるようになるのかが決まってしまう。したがって,ヒトでは相同染色体が23対あるので,交さがないものとしても,生殖細胞中の染色体の組合せは223すなわち8,388,608通り生じることになり,これらの卵と精子が受精して生じる受精卵は,223×223通りのものが考えられる。このことが兄弟姉妹の形質に違いがみられる原因である。

 

体細胞分裂

減数分裂

@目  的

体細胞の増殖(生物体の成長)

生殖細胞(卵・精子等)の形成

A染色体数

変わらない(2n→2n)

半減する(2nn)

B分裂回数

1(2個の娘細胞)

連続した2(4個の生殖細胞)

C染色体の組合せ

まったく同じ(娘細胞は同質)

(交さが生じないとして)2n種類

 

 

 

 









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