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C 動物の体のなりたち

 

脊つい動物では,細胞の分化がいちじるしく,100種類以上にのぼる。それらが

組織をつくり,さらに器官ができる。ここでは,代表的な組織の4つをみていく。

 

◆上皮組織

動物の体表または体腔の表面をおおう上皮組織(epithelial−tistsue)は,立方体または

円柱状の細胞層からなっている。薄い平たい細胞一層からなる扁平上皮は心臓や血

管,リンパ管の内側をおおい,各層の多層上皮は皮膚の表面を形づくっている。上

皮にはかみの毛の主成分であるケラチンフィラメントが多数含まれて角質化する

ことがあり,毛,つめ,羽毛は上皮の分化したものである。

 上皮にはさまざまに分化したものがあり,繊毛をそなえた繊毛上皮(気道),視覚,

嗅覚,味覚,聴覚など感覚受容器を形成する感覚上皮,分泌する腺上皮(唾液腺)

精原細胞や卵原細胞をつくる生殖上皮,吸収にあずかる吸収上皮(小腸)などがある。

 

◆結合組織

結合組織は他の組織や器官を支持して,それらに一定の形と位置を保たせる働き

をする。繊維芽細胞が主な細胞で,繊維をつくるコラーゲンを細胞外に分泌する。

これに粘度の高いヒアルロン酸など多糖類も分泌されて,他の組織を包んだり,細

胞群をまとめあげる。たとえば筋肉を含む白いすじはコラーゲン繊維膜である。皮

膚の表皮(上皮)のすぐ下には,結合組織の真皮があって,皮膚に弾力性をあたえて

いる。牛皮は,コラーゲン繊維の集合体である。

 骨組織も一種の結合組織である。骨細胞がコラーゲン繊維を分泌し,それに水酸

化リン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト,Ca10[PO4]6[OH]2)が沈着して骨を形成す

る。骨は血管や神経が分布するハーバース管を中心に多数の同心円状層状構造から

なっており,層状構造にそってくぼみがあり,その中に平たい骨細胞が存在する。

 

◆神経組織

神経組織は,神経細胞とそれを支持する神経膠細胞からなる。

神経細胞は,核をもつ細胞体と多数の突起からできている。突起には1本の長い

軸索と多数の樹状突起からなる。これらを総称してニューロンまたは神経単位とよ

ばれる。

 軸索は,興奮を速やかに遠くはなれた他の神経細胞または筋肉細胞などに伝達す

る。軸索は微小管で支持されている。軸索はリン脂質(ミエリン)からなる髄鞘で取

りまかれ,さらに外側にシュワン細胞でおおわれている。骨髄鞘の約2mm間隔で

くびれた部をランビエ絞輪という。樹状突起は他の神経細胞,またはその樹状突起

とシナプス連結して興奮伝達にあずかる。

 

◆筋組織

筋肉は,骨格筋,心筋,平滑筋に分けられる。骨格筋と心筋は横紋がみられるの

で横紋筋とよばれる。骨格筋は意思による支配下で運動できるので随意筋,心筋,

平滑筋は自律神経系支配で不随意筋である。骨格筋は多核細胞,心筋,平滑筋は単

核細胞である。骨格筋と心筋の収縮は速く,平滑筋はおそい。

 骨格筋は,細長い巨大な筋細胞(筋繊維)からできており,基底膜(コラーゲンと糖

タンパク質からなる)でおおわれている。その両末端はコラーゲン繊維からなる腱

によって骨につながっている。筋細胞中には,筋原繊維という細胞小器官(1μm)

がぎっしり縦方向に走っている。筋原繊維は2つの線()で仕切られたサルコメア

(筋節)からできている。サルコメアの中央部(A)は暗く,その両側()は明るい。

すべてのサルコメアが同調して存在しているので筋繊維に明暗の横紋が見られる。

 心筋では短い筋原繊維がさまざまな方向に走り,となりの細胞の筋原繊維とは速

連構造(介在板)で接している。平滑筋には筋原繊維がなく,収縮性繊維(アクチンフ

ィラメント,ミオシンフィラメント)が散在している。

 

◆動物の組織と器官

動物の組織は,一般に,上皮・結合・筋肉・神経の4つに大別される。血液とリ

ンパは,液体中に細胞が散在した特別な結合組織とみなされることが多い。しかし,

上皮・結合および遊走細胞(組織間を自由に動く細胞)3つに分ける人もある。

 動物は,器官の分化が著しく,体内に多くの器官をもつものが多い。それらの器

官は,しばしばいくつか集まって一定の機能を示す。たとえば,歯,胃,腸,すい

臓などの器官は消化に関与している。このように関連した器官をまとめて,器官系

という,器官系は,消化,呼吸,循環,排出,生殖,保護および支持,運動,神経,

感覚,発音・発光・発電,内分泌などに分けられる。

 各器官系の働きは,次のようである。

 

 (a)

消化系……消化と吸収(エネルギー源のとりこみ)

(b)

呼吸系……外呼吸(ガス交換)

(c)

循環系……酸素・栄養分・ホルモンなどの運搬(老廃物の運搬)

(d)

 

(e)

生殖系……有性生殖

(f)

保護および支持系……体の支柱(骨格系),体表面の保護(皮膚)

(g)

運動系……運動(筋肉系ともいう)

(h)

神経系……興奮伝達と機能調節

(i)

感覚系……刺激の受容と神経への伝達

(j)

発音・発光・発電系……ヒトは発音系のみ

(k)

内分泌系…ホルモンの分泌

主な器官と器官系は次の図のようである。

 

◆動物の体型

動物の外形はさまざまであるが,それらを整理するには,立体幾何学的なとり扱い,つまり図形を貫く軸(主軸や副軸)を設定したり,断面を設けたりして,その軸や面についての相称性を問題にするやり方がなされる。

1無軸型……

点相称も面相称もみられないもの。代表はアメーバで,不定形ともいう。

 

2均軸型……

全面相称型ともいい,相称軸や面が多数,あるいは無数に存在する型。簡単にいえば球形で,原生動物のタイヨウチュウなどがその例。ほとんどの動物の卵細胞もこれである。

 

3単軸型……

1本の主軸があり,これを含む相称面が1つあるいは多数存在する形。相称面の数によって,さらに放射相称型,二放射相称型,左右相称型に分けられる。

放射相称型は,3つ以上の相称面をもつもの。ヒトデ・クラゲなどの腔腸動物や,ウニ・ヒトデなどのきょく皮動物。

二放射相称型は,2つの相称面,すなわち2本の副軸をもつ型で,サンゴ虫類やクシクラゲ類。

左右相称型は,両軸相称型ともいわれ,ただ1つの相称面をもつ型で,この相称面を正中面という。この型は,重力場における前進運動に適した型といわれ,水中・陸上・空中で生活する多くの動物で見られる典型的な形である。

 

 

 

動物の中には,前後の軸に沿って,相同な立体的な構造単位がくり返されているものがあり,この単位を体節という。環形動物や節足動物でよくみられ,脊つい動物では,発生の初期に,中胚葉で体節構造が最もはっきりしている。成体でも,脊ついなどで,体節構造が見られる。

 

*興味のある話*

◆ヒーラ細胞

1951年,アメリカのボルチモアのジョンズ・ホプキンス大学医学病院で31歳の黒人アメリカ女性が子宮頸がんのために亡くなった。彼女のがん細胞は細胞生物学者G.O.Geyによってガラス器内で培養され,以来今日にいたるまで全世界の細胞生物学研究室で実験用に用いられている。この細胞株は患者の氏名の略称をとってヒーラ(HeLa)細胞と呼ばれている。カルテが消失しているので,Henrietta LacksHelene Laneのどちらに由来したのか不明である。

ヒトの組織から単離した細胞を培養すると,ふつう15回ほど分裂すると死滅することが多い。これは突然変異を起こすためではないかとみられている。

ヒーラ細胞の染色体数は80個もあり,正常の46個に比べてずっと多く,長期間にわたって分裂可能性を保っている。

 

 

 

 








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