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実験3〔探究活動〕 オーキシンの働き
教科書p.156〜157 所要時間2時間
【指導目標】 植物の茎の成長とオーキシン濃度との関係を実際に実験によって確
認するとともに,屈性に及ぼすオーキシンの影響を調べる。その際に,対照実験を
設定し,その結果と比較するという探究の方法を学ぶ。
【準備】 カイワレダイコンの種子・インドール酢酸・エタノール・植木鉢か育苗
ポット・バーミキュライト・段ボール箱・カミソリ刃・ビーカー・ペトリ皿・小筆・
分度器・方眼紙・ものさし
【準備上の留意点】
(1) まず,ポリパックや浅い植木鉢に,バーミキュライト(有機質や無機塩類を含ま
ない園芸用土)を入れて,水を入れたバットなどに浸けて充分湿らせておく。
カイワレダイコンは夏なら3日,春と秋は5日間ぐらいで発芽し,発芽率も高い。
実験に必要な本数の3倍ぐらいの種子をまいて,実験直前に成長しすぎたものや短
いものを間引く。伸びすぎてもやし状になると実験には不適切である。種まきから
準備することが困難な場合は,市販のカイワレダイコンをそのまま利用することも
考えられるが,成長しすぎている場合が多いので,差がでにくい。それを用いるな
らできるだけ草丈が伸びていない若いものを購入する方がよい。
発芽後に光を当てないように注意する。暗室にいれておくか,四隅にガムテープ
などで目張りをした段ボール箱をかぶせておくとよい。
IAA水溶液を作る際には,IAAは水に溶けにくいので,予め少量のエタノールに
溶かしておき,大量の水で薄める。この過程でエタノールは蒸発する。
まず,0.01%(100ppm)の水溶液をつくる場合は,100mgのIAAを1mlのエタノー
ルで溶かして,これをビーカーに入れて,その上に水を1l加えるとよい。そんな
に大量にいらない場合は,100 mlの水に溶かして1000ppmの原液を作っておき,使
用時に10倍に薄めるとよい。
(4) 濃度のシリーズをつくる際には,小さなビーカーに水を90 mlずつ入れておき,
そこへ100ppmのIAA水溶液を10 ml 加えて,10ppm溶液をつくり,さらにそれを10
mlとって先ほどの90 mlの水に加えて,よくかくはんする操作を何度か行うとよい。
【方法上の留意点】 <実験A> オーキシン濃度と植物の成長
茎の先端近くは太さもふぞろいなので5mm(正確でなくてもよい)程度切除し,そ
の下の部分の長さをそろえて,正確に測定する。切断は教科書に図で示したような
道具を自作すると便利だが,カミソリを固定する器具としては,洗濯バサミ以外に,
消しゴムや角材・発泡スチレンなどが利用できる。また,グラフ用紙の上に直接カ
イワレダイコンの茎を置いて,カミソリで切断してもよい。
切片を浮かべたペトリ皿は,教室内の暗所に置いてもよいが,低温の時期(20℃以
下)には,25〜30℃の恒温器内で培養した方がよい。
測定までに一昼夜放置しなければならないので,準備か測定のいずれかは,放課
後や昼休みを利用するなど工夫が必要である。測定は,ものさしを当ててもよいが,
グラフ用紙の上に切片を置いて測る方が簡単である。その際は,方眼紙の上にラッ
プフィルムを当てるとよい。
<実験B> 植物の屈性と成長ホルモン
オーキシン液を茎の片側だけに塗ることがポイントなので,できるだけ小さい筆
(例えば,書道用の小筆や化粧用のもの)を用いて,反対側に液がつかないように注
意して塗る。また,別法としては,IAA水溶液をスポレーで茎の片側に軽く噴霧す
るという方法もある。
茎にオーキシン液を塗ると,そのポットをすぐに暗所に入れる。この場合の暗所
は暗室に入れるか,準備で用いた目張りをした段ボール箱をかぶせるとよい。一方
向からわずかでも光が入れば,光屈性によってその方向へ屈曲するので注意が必要
である。
測定は30分後となっているが,温度条件がいいと10分後から屈曲するものもあ
るので,予備実験で確認しておく。
屈曲角の平均値を求める際に,バラつきが大きい場合は最大と最小の両極端の値
は除いて残りの3本の値を平均してもよい。
【結果の考察】
<実験A> オーキシン濃度と植物の成長
(1) 教科書の結果例をもとに考えると,カイワレダイコンの茎の成長に最適なIAA
濃度は0.01%(A液)となる。高濃度のオーキシンで成長が抑制されるのはさらに高
濃度(0.1%程度)にする必要があると考えられる。
(2) D液の結果は,対照実験のE液と差がなく,茎の伸長成長促進に対するIAAの
効果は0.00001%以上から現れるといえる。そして,高濃度になるほど促進効果は
拡大し,0.01%でもまだ増加を続けている。
<実験B> 植物の屈性と成長ホルモン
(1) 蒸留水を塗った対照実験のEは屈曲が見られず,高濃度になるほど屈曲が大き
くなり,最も高濃度のA液を塗った場合に平均58°も屈曲している結果になってい
る。また,屈曲の方向は塗った側と反対側であり,その結果から,仮説「実験Aで
最もよく成長した濃度のIAA水溶液を塗ると反対側に屈曲する」が検証されたとい
える。
(2) これらの実験と合わせて,実験室の窓際に何も塗らないカイワレダイコンの茎
を置いておき,光屈性を確認しIAAを片側に塗る効果と比較するとよい。
【発展実験例】 ソラマメの側芽に対する植物ホルモンの効果
(1) ラノリン軟膏の調整;ラノリンを一定量とって,小ビーカーの中でアルコール
ランプなどにより加熱しておき,オーキシンまたはジベレリンなどを加えて白濁す
るまでよく練る。ホルモン濃度を2%前後として使用する。
(2) ソラマメの種子は水道水で十分水洗し,水を含ませたバーミキュライトに播く。
それらを25℃程度の暗所に置き,1日1回水をやりながらそだてる。
(3) その後,発芽したものの中からほぼ一定の長さのものを選び,ソラマメの第1
節から少し上の部分を一定の長さだけ残して平らに切る。
(4) 切断した部分にIAA入りラノリン軟膏,ラノリン軟膏のみ,ジベレリン入りラ
ノリン軟膏をそれぞれ一定量つけ,数日おきに側芽の伸長を測定する。
(5) 結果は。高濃度のIAAは,ラノリンのみ(対照実験)よりも側芽の伸長を抑制し,
ジベレリンは高濃度にするほど伸長が促進されることがわかる。