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実験6〔探究活動〕 腎臓の構造と働き

教科書p.136  配当時間2時間

 

 

【指導目標】 ヒトの腎臓によく似たブタの腎臓を観察することにより,腎臓の

つく

りとその尿生成のしくみについて理解を深める。

<実験A> 腎臓の外形と断面の観察 <実験B> 墨汁を注入して糸球体

を確認

AB2つの実験は,別々にするより,同時に行った方が時間の節約にもなり,実

際的であるので,以下その手順にそって説明する。

【準備】 メス(調理用ナイフ),解剖はさみ,ピンセット,柄つき針,止血鉗子(

ッヘル鉗子),注射器,先端をカットした注射針,かみそり,厚紙,解剖皿,スラ

イドガラス,カバーガラス,顕微鏡,墨汁,エオシン,ブタの腎臓

【準備上の留意点】 (1) ブタの腎臓は食肉店で入手(1個100円程度)。なるべ

くメスの入っていない,輸尿管や腎動脈,腎静脈がついているものが望ましい。

(2) 注射針は,ペンチで刃のついている先端部を切り取る。

(3) 切片作製器:かみそり2枚を,間に厚紙(プラスチック板)を挟んで,両面テー

プで貼り合わせてつくる(教科書p.137図参照。厚紙の厚さで切片の厚さが変わる。

かみそりは新品を使う。使用後,エーテルアルコール(ジエチルエーテル1+メタノ

ール1)に浸して表面についた脂肪を取ると切れ味が保てる。

【方法上の留意点】 (1) 腎臓に漿膜がかぶっている時は,膜に少しはさみを入

れた後,指を入れて,くるっと剥く。そのまま,力をいれて引っ張ると,漿膜と腎

(管の出入りする腎臓の少し凹んでいるところ)付近の脂肪の一部が除去できる。

(2) ピンセットで脂肪組織などを取り除き,腎門に3本の管を見つける。

輸尿管…白く太いのが輸尿管。脂肪組織がまわりについている場合がある。

腎動脈…管の断面がまるくしっかりしているのが腎動脈。

腎静脈…極めて薄く,自力で丸い形を保つことができず,ぺったりとつぶれている

腎静脈。血液が残っていることが多い。また,腎動脈とぴったりくっついているこ

とが多い。腎動脈は,腎門に入る前に2つに分岐する。食肉市場で,分岐より腎門

側にメスが入ってしまっている時は,腎門付近に腎動脈が2本見えることがあり,

注意する。各管は,見つけたら,止血鉗子で,その入口を1mmほどつまむように

挟んでおく。

(3) 外形及び3本の管の観察,スケッチの後,(実験B)腎動脈から墨汁を注入す

る。墨汁は,市販の墨汁を5倍程度に稀釈し,10mlの注射器にとる。先端をカット

した注射針をつける。腎動脈に注射針を挿入する。前述したように腎門前で分岐し

2本になっている腎動脈のうちの1本に注射針を進ませ,その血管を注射針ごと

止血鉗子で留める。墨汁を静かに注入し,腎臓の皮質が黒く染まってきたら,墨汁

の注入を止める(通常56 ml)(食肉市場でメスが入っていて,墨汁が漏れるとき

も,ある程度はかまわずに墨汁を注入してみる。あるいは切断面より先に動脈の入

口を見つけ,そこから墨汁を注入する。)

(4) 腎うの内側が切り開かれるように,腎門の反対側の縁に沿ってメスを入れて縦

断面を作る。皮質はメスが容易に入っていくが,腎杯にメスが達するあたりから,

抵抗感がある。腎杯から腎うの壁は,固く,しっかりしていることがわかる。腎う

の内側の滑らかな壁が現れにくいときは,途中から腎うの内側に解剖はさみを挿入

して切り開くとよい。

(5) 腎うが現れたら,2つに切り離さないで,縦断面を観察する。墨汁を注入した

動脈の支配領域の皮質部分が黒く染まり,もう一方の動脈の支配領域は,通常の断

面のようすを表している(写真)。主にこの後者の領域で,皮質部分(黄色味を帯びた

桃色)と髄質部分(赤紫色)を区別する。いくつかのとがった形の髄質の先端部を腎乳

頭といい,これを腎杯が取り巻いて,尿を受け,腎うに尿が集まる(教科書p.136

参照)。腎うに集まった尿は,腎うの腎門側の孔から輸尿管に導かれる。このつな

がりを理解するために,その孔から,ピンセットなどを挿し込む。はじめに見つけ

た輸尿管につながっているのがわかる(教科書p.136写真参照)。腎うがわからない

場合は,逆に輸尿管の方からピンセットなどを挿し込むと腎うに出てくる。

(6) 墨汁が注入されて黒くなっている皮質を1cm角くらい切り出す。解剖皿のマッ

トの上に置く。切り出した皮質をピンセットで押さえ,切片作製器を何度か往復さ

せながら,下のマットに刃が入るくらいまで最後までしっかり切る。(切る面の方

向は,皮質の外側の面に直角方向が望ましい。)求める切片は,かみそりとかみそ

りのわずかな隙間に入っている。柄つき針で2枚のかみそりの間を探ると,切片が

ついてくるので,スライドガラスの上に広げる。カバーガラスをかけて検鏡する。

注入した墨汁によって,血管の走行がわかる。輸入細動脈から糸球体に血管がつな

がり,ふたたび同じ側から血管が出て,輸出細動脈になり,さらにそれが毛細血管

としてひろがっているようすが観察される(教科書p.137写真参照)

【結果と考察】 (1) ブタの腎臓の外形は,豆形をしている。重さは,実測で約

140gで,ヒトの約130gに近い。後の内部構造もヒトのものによく似ている。

(2) 腎臓には,腎動脈・腎静脈・輸尿管の3本の管があることから,腎臓の意味を

考えさせる。すなわち,血液が腎動脈として腎臓に入り,腎静脈として出てくる間

に,血液中の不要なものが尿となって,輸尿管から出てくる。

(3) p.137「先生」出題の考察@:切片の検鏡で,皮質に見える黒い球体は,血管が

たまになった糸球体と考えられる。糸球体では,ボーマン嚢に原尿が濾しだされ,

そこに続く細尿管に分布する毛細血管に必要なものが再吸収されるといわれる。こ

の顕微鏡像では,糸球体から出た血管が枝分かれして毛細血管になっているが,こ

れが細尿管に分布する毛細血管であると考えると,理解できる。すなわち,糸球体

及びそれに続く毛細血管は,ネフロンでの血管の分布のようすを表している。ちな

みに,エオシンで染色し,よく見ると,ボーマン嚢や細尿管を見ることができる。

(4) p.137「先生」出題の考察A:糸球体及びそれを包むボーマン嚢を含む腎小体は,

皮質にある。      

 考察Bは省略。

【発展】 皮質の部分を,目の大きさを細かくしながら金網で濾過していくと,夥

しい数の糸球体を得ることができることから,腎臓にはたくさんの糸球体,ひいて

はそれだけの数のネフロンがあり,その集合として,腎臓の機能が営まれているこ

とを知ることができる。

 

◇参考文献;ブタの腎臓の解剖と組織の観察,遺伝200012月号              


 

 

 








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