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実験3〔探究活動〕ウニの分割割球の発生

教科書p.6364  所要時間2時間

 

 

【指導目標】 調節卵であるウニの割球を実際に分割して,それぞれの割球から

完全なプルテウス幼生が生じるかを確認する。また,可能であれば,何細胞期まで

分割しても完全な幼生が生じるかを調べてみる。

【準備】実験2と同じ・トリプシン・Ca欠如人工海水・遠沈管・簡易遠心分離機

【準備上の留意点】

(1) この実験に用いるウニは,実験2の方法で採卵をして受精をさせて2細胞期ま

で発生が進んだところでその割球を利用する。準備は,基本的には実験2と同様で,

実験2を生徒全員が行う際に,デモ実験(教卓実験)として行って,結果を教師用の

顕微鏡で観察させたり,ビデオカメラで撮影してモニターで見せたりするとよいだ

ろう。

(2) 2細胞期で分割割球を作成するためには,受精膜が形成されないようにする必

要があるので,予め未受精卵をトリプシンで処理して受精膜形成に必要なタンパク

質を分解しておく。トリプシンは必ず冷蔵庫で保存し,使用直前に人工海水に溶か

して,0.01%の水溶液にして使用する。10分間処理後,人工海水で3回洗って,ト

リプシンを取り除いておく。

(3) 飼育や初期発生の観察に用いる人工海水は市販のものでもよいが,この実験で

は,Ca欠如人工海水を作らないといけないので,教科書にあるように海水の成分

を混合して作成する必要がある。なお,それぞれの薬品は,表の順番に水に溶かし

ていくと速く溶解する。入れる順番を間違うと,固まってしまってなかなか溶けな

いことがある。

【方法上の留意点】

(1) Ca欠如人工海水に移すタイミングが重要で,確実に受精が終了するまで,精

子を加えてから10分程度は正常人工海水中で静置しておき,受精卵を沈殿させた

状態で上澄みの海水をスポイトで十分取り除いて,上からCa欠如人工海水を十分

加え,軽く攪拌して再び沈殿させて上澄みを取り除く作業を3回は繰り返す。

このあと,受精卵は時計皿に移して観察を続ける。このとき,卵は中央部に重な

らない程度に入れる。多すぎると酸欠になって死んでしまうこともある。

(2) 時々,時計皿のまま顕微鏡のステージにのせて低倍率で検鏡して,第一卵割が

始まって,2つの割球になるのを確認してから,検鏡しながら横からピペットで吸

い取って,別の正常人工海水を入れた時計皿に移して観察を続ける。複数の卵を移

してもよいが,1個の時計皿に1個ずつ移して観察をした方が,同じ卵を確実に追

跡できる。

(3) 正常人工海水に移してからは,実験2の初期発生の観察と同じように時間を追

って観察して,スケッチなどを行う。もちろん,同時にコントロールとして,Ca

欠如人工海水に移さないで発生を続けさせたものも用意して,これと比較する方が

よい。観察はプルテウス幼生になるまで続けることが望ましいが,夏季のムラサキ

ウニで約1日,冬季のバフンウニなら45日かかるので,条件によっては途中ま

で中断せざるをえないだろう。それでも,正常発生の胚と比較して調整卵であるこ

とは確認できる。

<別法1なお,受精膜を取り除くために,受精後に尿素液で処理する方法もある。

これは,受精膜が形成され始めた頃に,卵浮遊液の710倍量の1M尿素水溶液を

すばやく加えて攪拌し,ピペッティングをして受精膜を取り除くというものである。

このままでもよいが,100μmくらいのナイロンメッシュを通すと確実である。

<別法2また,卵をトリプシンや尿素などの薬品で処理せずに,ペトリ皿の底に

流し込んで固めた寒天の上にCa人工海水を薄く加えておき,その上に受精卵をの

せて2細胞期になったときに,顕微鏡か双眼実体顕微鏡で低倍率で観察しながら,

ガラス針か柄付き針で受精膜を破って割球を分割させるという方法もある。このあ

と,分割した割球をそれぞれ別々のペトリ皿に入れて観察を続ける。やや手先の器

用さが要求されるが,練習をすれば可能である。

【結果と考察】

教科書に掲載されている写真の通り,大きさは半分であるが完全なプルテウス幼

生が2匹生じ,「2細胞期の割球を分割すると,2個とも正常な幼生に発生する」と

いう仮説は正しかったと判断できる。なお,大きさが半分というのは体積が半分で

あり,長さを測定して比較するとそんなに小さくはならないことに注意する必要が

ある。

ただし,正常発生の成功率(9597)に比べると,分割割球が正常な幼生になる

率は8090%とやや低いことが知られている。低倍率で観察するだけでは正常に見

えても,高倍率で詳しく観察すると異常が見つかることがある。詳しく調べる場合

は,次のような観点で判断して,これらの基準をすべて満たした個体を正常とする

とよい。

<正常なプルテウス幼生の判断基準>

@    腕が4本あるか?(外胚葉)

A    口と肛門を結ぶ原腸が完全か?(内胚葉)

B    骨片・色素細胞があるか?(中胚葉)

 

【発展】

(1) 2細胞期に分割した割球を正常海水中で接して置いておくと,再びくっついて

発生が進行してもとの大きさのプルテウス幼生が得られる。また,受精卵の状態で

くっつけると,もとの2倍の大きさの幼生になることが知られている。いずれも,

ウニが調整卵でことを裏付ける実験である。これを行うためには,付着させる割球

が動かないように,別法2で示したような寒天で底をおおったペトリ皿を用いると

よい。

(2) Ca欠如人工海水中に放置したまま,48細胞期になってから正常海水に戻す

と,それぞれの割球は小さいながらも発生を進め,完全だが小さなプルテウス幼生

になるものもある。この成功率は発生が進むほど低下し,16細胞期では幼生に達す

るものは見られない。なお,受精膜を取り除かずにCa欠如海水中で発生を進める

と,教科書p.64の参考の写真のように,受精膜内で卵割が進むごとに割球が小さく

なってそれがバラバラに分割されていく。受精膜を除去して実験すれば,割球は完

全にバラバラになってしまう。だから,確認したい時期にその割球を正常な人工海

水に戻すことが重要である。

 

 










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