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実験2〔観察〕 原形質分離の観察 

教科書p.22 所要時間1時間

 

 


【指導目標】 (1) 原形質分離を起こした細胞を正しく見極められる。

(2) 原形質分離した細胞を低張な状態におくと,原形質復帰することを確かめる。

【準備】 ユキノシタの葉(葉裏が赤いもの),顕微鏡,スライドガラス,カバー

ガラス,スポイト,柄つき針,ピンセット,かみそり,ろ紙(実験Bのみ),ガー

ゼ,15%スクロース水溶液と蒸留水

【準備上の留意点】

(1) 葉裏の赤いユキノシタは,班で同一の葉を用いないと,濃度差による体積変

化を正しく表さないことがある。

(2) ユキノシタの葉裏の表皮細胞はアントシアニンという色素を含むものがあ

るため,顕微鏡で観察した際,原形質が赤紫色に見える。このため,原形質の

体積変化が観察しやすい。また,原形質の体積変化によって赤紫色の濃淡が変

化することからも,原形質の体積変化を確かめることができる。

(3) 56月頃のユキノシタの裏面表皮細胞はほぼ0.26mol/lスクロース水溶液と

等張である。0.26 mol/lスクロース水溶液は約9%スクロース水溶液に相当する。

15%スクロース水溶液は高張液にあたる。低温になる冬季では細胞の浸透圧は

やや高くなっているので,冬季に実験する場合は,あらかじめ等張な濃度を確

かめておくといい。

(4) ユキノシタ以外の実験材料として,次のようなものがある。

カナダモの葉は,溶液中に容易に沈み,表皮をはがす技術も不要である。生

徒はほぼ失敗なく原形質分離を観察することができる。また,原形質が収縮す

るほど,葉緑体による緑色が濃く見える。ただし,生育の悪いカナダモでは,

葉による葉緑体の数や量のちがいが大きい。

ムラサキタマネギは入手しやすいが,細胞内に色素量が少ないため,色が薄

いのが欠点である。

ツツジの花弁やアオミドロなども使用できる。また,タマネギの鱗片葉の表

皮細胞など,色素をもたない細胞を使用する場合には,溶液の方に薄く色をつ

ければよい。この場合は,原形質分離によって原形質と細胞壁の間に色素液が

入る。

【方法上の留意点】 ユキノシタは原形質分離の実験に適した材料であるが,

次のような点には注意したい。

@ 表面にある毛のために,溶液表面に浮かんでしまい,浸透現象が十分おこら

ない場合がある。ピンセットや柄つき針で表皮片を確実に溶液中に沈める。

A 表皮をうまくはがせない場合がある。葉をそらしながらピンセットでゆっく

りとはがす。また,葉をひねるようにして破ると表皮だけが浮くようにしては

がれることがあるので,それを使う。

B 表皮は赤くとも,顕微鏡でみると赤くない細胞も観察できる場合がある。赤

い細胞がたくさんある部分を観察するようにする。

C 実験Bについて,スクロース(ショ糖)水溶液を蒸留水で置換する場合,十分

な量の蒸留水を使わないと,原形質復帰が不十分になることがある。スクロー

ス水溶液をしっかり濾紙に吸収して,蒸留水と置換する。

【結果の整理・考察】

実験Aについて,蒸留水(=低張液)に浸した場合では,どの細胞も吸水して原

形質の体積は増大し,緊張状態になる。15%スクロース水溶液(=高張液)に浸し

た場合では,原形質の水分子がスクロース水溶液に奪われ,体積の減少分だけ原

形質分離する。蒸留水の場合より原形質の色調が濃くなっていることから,原形

質の体積が減少したこと,水分子だけが出ていったことが推測できる。また,15

スクロース水溶液中にある原形質は球形であり,膨圧が0になっている。組織や

植物体を支えるのに膨圧が役立っていることを考察できる。

実験Bについて,一度,原形質分離した細胞も,水分子が原形質内に浸透する

ことにより,もとの状態に戻ることができる(­=原形質復帰)。しおれた植物に吸水

させると元の状態に戻ることを細胞レベルで確認できる。

【発展】

(1) 原形質分離の状態で長くおくと,原形質内にスクロースが浸透するために原

形質復帰は起こりにくくなる。

(2) この実験では濃度の異なる2種類の液を用いているが,他の浸透圧をもつ溶

液も用意して実験すると,原形質分離の度合いが段階的に変化することが観察

できる

(次のグラフと図を参照)

(3) 低張液であっても,時間をかけるとスクロースが浸透する。たとえば白菜を

長時間薄いスクロース水溶液につけておき,十分水洗した後で,細胞内のスク

ロースを調べてみよう。

(4) 冬期にユキノシタの葉の裏面表皮細胞の浸透圧は高まる。4月初めに実験を

行うと,0.40 mol/lスクロース水溶液と等張なほどである。植物が冬期に浸透圧

を高めているのは,グルコースなどの糖濃度の高まりに比例していると思われ,

冬期の低温から身を守る適応であろう。

(5) 植物の種類によって等張液の濃度は異なる。たとえばスクロース溶液で,ム

ラサキオモトやユキノシタが0.26 mol/l,タマネギが0.37 mol/l,アオミドロが

0.25 mol/lという結果がある。海岸性の塩生植物は高い浸透圧をもつ。

 

 










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