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実験1〔探求活動〕 細胞の観察と大きさの測定
教科書p.14 所要時間2時間
【指導目標】 中学校での顕微鏡観察として,タマネギの表皮やカナダモの葉,
ヒトの口腔上皮細胞がとり上げられている(啓林館,新訂理科2分野下)が,生物学
の基本ともいえる顕微鏡操作が自在にできるためには,高校ではじめから学習させ
たい。
(1) 光学顕微鏡の正しい使い方を理解し,実際にきちんと使うことができるよう
になる。
(2) 生物実験における探求活動の過程(仮説の設定→実験→考察→レポート,発展)
を理解し,実践することができるようになる。(以上は,実験A,B)
(3) ミクロメーターを使って大きさの測定ができるようになる。(実験B)
【準備】 <実験A> オオカナダモの葉,顕微鏡,スライドガラス,カバーガ
ラス,スポイト,柄つき針,ピンセット,ガーゼ(スライドガラスの汚れを拭きと
るのに便利)
<実験B> タマネギの鱗片葉,オオカナダモの葉,顕微鏡,スライドガラス,
カバーガラス,接眼ミクロメーターと対物ミクロメーター,スポイト,柄つき針,
ピンセット,ガーゼ,試薬として酢酸カーミンなど
【仮説の設定】 はじめての探究活動であるが,生徒は,中学時代の観察実験と
同じようにとり組むであろう。そこで,教科書の序部「サクラはいつ咲く」および,
本書p.12〜13を参照して,仮説の設定の意義について説明するとよい。
【準備上の留意点】 <実験A,B> (1) 最初の生物実験なので,顕微鏡や
必要な器具類の準備点検を念入りに行う。実験Bで使用するミクロメーターは事
前に油汚れなどを拭きとっておく。(接眼・対物両ミクロメーターは同じメーカー
のものが好ましい。)
(2) 観察に用いるオオカナダモは,5〜10月頃の時期のものがよい。また,タマネ
ギは,春先には,外側が茶色で球形に近いもの(外国産のものが多い)と青白く扁
平な球形のものが出回っているが,観察には前者のほうがよいようである(鱗片
葉の数が多い)。
<実験A> オオカナダモの細胞と葉緑体の観察
【方法上の留意点】 (1) プレパラートをつくる際,水が多すぎると顕微鏡のス
テージや対物レンズなどを汚しやすくなる。カバーガラスからはみ出た水はろ紙
で吸いとる。また,試料に厚みがあって気泡が入りやすいから,カバーガラスは
慎重にかける。
(2) 観察はまず低倍率で行うことは顕微鏡観察の基本である。全体をよく検鏡し
た後,広い範囲の中から目的とする部分を見つけさせる。
(3) 高倍率で検鏡する場合は,観察したい部分が丸い視野の中央にきちんと位置
するよう,あらかじめプレパラートを移動させておく。視野の中央から外れて
いると,レボルバーを回して高倍率の対物レンズに変えたとき,見たいものが
視野にないことになる。倍率をn倍高くすると検鏡できる面積がn2分の1に
減少することを生徒に印象づけながら指導すること。
【結果の整理・考察】 オオカナダモの葉の細胞には核・葉緑体・細胞壁・液胞
が観察できるとともに,原形質流動も見ることができる。核は絞りを絞ると屈折率
の違う部分として,液胞は原形質流動による葉緑体の流れなどから,それぞれ存在
が推測できる。
【発展】緑藻類ホシミドロ目(接合藻目)の一属であるアオミドロSpirogyraは,平
板でらせん回転状の葉緑体をもつのが特徴で,葉緑体の数やらせんの回転数は種を
区別する形質の1つになっている。
<実験B> ミクロメーターを用いた細胞の大きさの測定
【方法上の留意点】 △タマネギの表皮細胞のプレパラート
(1) 鱗片葉の内側の表面に,かみそりで1辺が5mmくらいの格子状に切り跡をつ
ける。格子の1角をピンセットではさみ,表皮細胞を注意深くはがす。
(2) 水で封じるか,または,酢酸カーミンやメチレンブルーなどで染色する。染色
した細胞には明暗のコントラストがつき,ミクロメーターでの測定がしやすい。
△ミクロメーターの使用上の留意点
(1) 接眼ミクロメーターの1目盛りの長さは100μmである。ミクロメーターの目
盛りの数字が正しく見えるほうを上側にしてセットする。

(2) 対物ミクロメーターの1目盛りの長さは10μmである。顕微鏡のステージに載
せる際は,ミクロメーターの左端にある0.01mmの規格表示が正しく読めるよう
に,または,目盛りの上に丸くかぶせてあるカバーガラスが上になるようにす
る。
(3) 視野があまり明るすぎると,接眼ミクロメーターの目盛りが見にくいので,
その場合はしぼりをしぼるとよい。
(4) 接眼ミクロメーターとどこか1箇所で重なり合うように対物ミクロメーター
を動かせば,目盛りが重なる2点を早く見つけられる。2点間の距離は長い方が
測定は正確になる。
(例1)【結果の整理・考察】 教科書の写真や右表の測定例からわかるように,
外側の鱗片葉の細胞は内側の細胞より大きい。このことから,内側の鱗片葉の細胞
は若く,外側の鱗片葉の細胞は内側より成長したものと推測される。鱗片葉自体も
外側のほうが大きいので,鱗片葉の成長は細胞体積の増大によるものと考えられる。
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測定した長さ(細胞30個あたりの平均値) |
中心部 |
中間部 |
周辺部 |
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細胞の長径〔μm〕 |
190.1 |
418.6 |
520.3 |
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核の直径〔μm〕 |
30.2 |
38.8 |
39.7 |
【発展】 測定例をみると,核の直径は中心部の細胞ではやや小さく,成長した
細胞では中心部のものより少し大きいといえる。この大きさの違いは細胞の長径の
違いほど大きなものではなく,核の大きさの違いは,細胞体積そのものの増大とは
異なる理由によるものと推測できる。鱗片葉の成長が細胞数の増加によるものでは
ないことを確かめるために,例えば,単位面積あたりの細胞数を調べるなど,発展
的な実験を行ってもよい。
(例2)【結果の整理・考察】 教科書p.17の写真では,矢印の葉緑体は10秒
間に接眼ミクロメーターの8目盛りを移動しており,10μmのスケールから,原形
質流動の速度は1.6μm/秒と計算できる。
【発展】 流動速度は温度や光などの環境要因の影響を受ける。下の測定例では,
流動速度の平均値はあまり変化がない。しかし,温水では流動速度がかなり速い細
胞が観察された。また,原形質流動そのものが観察できた細胞の数は,温水では比
較的多かったが,冷水ではあまり見られなかった。生徒実験では,単に速度だけで
なく,流動が観察できた細胞の割合も含めて考察させたい。
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滴下した水 |
原形質流動の速さの平均値〔μm/秒〕 |
測定した値の範囲 〔μm/秒〕 |
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温水〔40℃〕 |
2.2 |
1.2〜5.0 |
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冷水〔1℃〕 |
2.0 |
1.3〜2.6 |