トップ新編生物I>第3部 遺伝>第3章 遺伝子の本体B DNAの構造

B DNAの構造

 

DNAの構造

DNAは分子量100万以上の高分子化合物であるが,その構造は単純なヌクレオ

チドのくり返しにすぎない。DNAを分解するとヌクレオチドとよばれる単位にな

る。ヌクレオチドは塩基+糖+リン酸であり,リン酸と糖はどれも同じであるが,

塩基だけ4種類,アデニン・グアニン・シトシン・チミンが関与している。

 DNAの構造の研究は,まずシャルガフ(E. Chargaff)らによる4つの塩基の割合を

調べた結果から始まった。その結果わかったことは,アデニンとチミンの量は常に

等しく,グアニンとシトシンの量は常に等しいということである。その後,ウィル

キンス(M.H.F. Wilkins)X線回折でDNA内の分子の配列を調べた。これらの結果を

もとにして,ワトソン(J.D. Watoson)とクリック(F.H.C. Crick)は, 1953DNAの立

体構造のモデルを提案した。

 この構造の特徴は,遺伝情報の担い手である塩基配列が保存されやすいように二

重らせんになっており,常にアデニンとチミン,グアニンとシトシンが結合してい

ることである。この塩基の結合は水素結合という弱い結合で,70℃ぐらいに熱する

と,結合が離れてしまう。再びこれらを静かに冷却すると,もとの二重らせんにも

どるが,急に冷却すると,一重らせんのDNAが得られる。

 

DNAの複製

核分裂の際,染色体は縦に2つに割れて,それぞれが2つの娘核に入るが,DNA

は分裂前に合成されて倍化し,娘染色体へ分かれていく。このとき,DNAは単に

量が2倍になるだけでなく,正しく複製される。

 DNAが複製される際は,まずATGCの間の結合が切れて,2つのらせん

が離れる。それぞれのらせんに新しいらせんが加わって,2組みの二重らせんがつ

くられる。このとき,もとのAのところにはTTのところにはAGのところに

CCのところにはGをもつヌクレオチドが結合する。したがって,新しく合成

されたDNAの構造(塩基の配列順序)は,もとのDNAの構造とまったく同じである。

 このようにして新たに合成されたDNA2本鎖のヌクレオチド鎖のうち1本は古い

ものとなり,それを手本(鋳型)にして新しいヌクレオチド鎖が合成されたわけであ

る。このような複製の様式を半保存的複製とよんでいる。これも,ワトソンとクリ

ックの考えた仮説であるが,それを裏付ける実験が1958年にメセルソンとスター

ルによって行われた。彼らは,セシウムやショ糖の密度勾配をうまく利用した超遠

心分離法で,14N15Nをそれぞれ含むDNAのわずかな密度の差を明らかにして,

半保存的複製を証明した。その後,ケインズ(1963)がオートラジオグラフ法によっ

て細胞内でのDNAの複製が半保存的に行われることを明らかにし,また,真核生

物においても,フィルナー(1968)がタバコの培養細胞を用いて確証している。

 

 










本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2007 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved