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B 染色体
◆相同染色体
体細胞の染色体を観察すると,形・大きさが同じである染色体が2本ずつある。
この一対の染色体を相同染色体という。相同染色体は,もともと精子からと卵から
1本ずつ伝えられてきたものである。それゆえ,生殖細胞が形成されるときには,
染色体数が半減する減数分裂が生じ,相同染色体は1本ずつ別々の生殖細胞に入る
ことになる。

◆染色体の観察方法
染色体は細胞分裂中期で初めて数や形が明確になる。いうまでもなく,中期の染
色体を観察するには,分裂中の細胞を用いなければならない。ところが,すべての
生物について,分裂途中の細胞を入手することは容易ではない。ヒトの場合では特
にそうである。それで,ヒトの染色体数は,47本あるいは48本といわれた時代が
長く続いた。それが,男女ともにふつうは46本であることが確定したのは,第2
次世界大戦後である。
この染色体数の確定に貢献したのは,新しい観察方法の開発である。ヒトの場合,
血液を少量とり,静置すると,赤血球が沈殿し,その上部近くに白血球が集まる。
その部分をとって,白血球を培養する。このとき,インゲンマメ属のゴガツササゲ
などから抽出したPHA(フィトへマグルチニン)という物質を加える。そうして,分
裂中の白血球で染色体を観察する。
このようにして,ヒトの染色体数は男女とも46本であること,21番目の染色体
が1本多い人はダウン症になることなどが明らかになった。
◆染色体の構造
染色体は,分裂後期に紡錘糸が付着している部分(動原体)の位置によって,それ
ぞれ独特の形をとる。動原体が染色体の中央にあるか,やや端にあるか,端に近い
位置にあるかにより,
V字状,L字状,J字状,あるいは棒状になる。V状やL状
の染色体では,左腕と右腕が区別でき, L状やJ状のときは長腕と短腕が区別でき
る。また,動原体のほかにも,1〜2箇所のくびれをもつ染色体もある。これらの染
色体の形態上の特徴は,核分裂をくり返しても保たれる。

染色体の外側は膜でおおわれ,内部にタンパク質性の基質と,DNAと塩基性タ
ンパク質(ヒストンなど)よりなる糸状部分がある。
分裂期にない染色体(染色糸)では,DNAと塩基性タンパク質が伸びた状態になっ
ている。DNAはヒストンが球状になったものにからみついている。このDNAとヒ
ストンの混合物をヌクレオソーム(nucleosome)という。核分裂にはいると,このヌク
レオソームがコンパクトに折りたたまれ,らせん状になる。このことは,次の図で
示される。また,ヒストンはH2A,H2B,H3,H4がそれぞれ2分子ずつ8量体の
形で球状になり,それにDNA糸が巻きついている。もう1つのヒストンであるH1
は,ヌクレオソームを安定化させるのに働いている。
核分裂にはいる前の間期に, DNA合成が行われることがわかっているので,分
裂を始める前にDNAの複製が終わり,量的にも倍化されている。なお,染色体に
は,ヒストン以外のタンパク質 (非ヒストンタンパク質)も,基質などに含まれてい
る。
