トップ新編生物I>第1部 生物体の構造と機能>第3章 細胞の増殖と分化B 染色体

B 染色体

 

◆相同染色体

体細胞の染色体を観察すると,形・大きさが同じである染色体が2本ずつある。

この一対の染色体を相同染色体という。相同染色体は,もともと精子からと卵から

1本ずつ伝えられてきたものである。それゆえ,生殖細胞が形成されるときには,

染色体数が半減する減数分裂が生じ,相同染色体は1本ずつ別々の生殖細胞に入る

ことになる。

 

染色体の観察方法

染色体は細胞分裂中期で初めて数や形が明確になる。いうまでもなく,中期の染

色体を観察するには,分裂中の細胞を用いなければならない。ところが,すべての

生物について,分裂途中の細胞を入手することは容易ではない。ヒトの場合では特

にそうである。それで,ヒトの染色体数は,47本あるいは48本といわれた時代が

長く続いた。それが,男女ともにふつうは46本であることが確定したのは,第2

次世界大戦後である。

 この染色体数の確定に貢献したのは,新しい観察方法の開発である。ヒトの場合,

血液を少量とり,静置すると,赤血球が沈殿し,その上部近くに白血球が集まる。

その部分をとって,白血球を培養する。このとき,インゲンマメ属のゴガツササゲ

などから抽出したPHA(フィトへマグルチニン)という物質を加える。そうして,分

裂中の白血球で染色体を観察する。

 このようにして,ヒトの染色体数は男女とも46本であること,21番目の染色体

1本多い人はダウン症になることなどが明らかになった。

 

染色体の構造

染色体は,分裂後期に紡錘糸が付着している部分(動原体)の位置によって,それ

ぞれ独特の形をとる。動原体が染色体の中央にあるか,やや端にあるか,端に近い

位置にあるかにより, V字状,L字状,J字状,あるいは棒状になる。V状やL

の染色体では,左腕と右腕が区別でき, L状やJ状のときは長腕と短腕が区別でき

る。また,動原体のほかにも,12箇所のくびれをもつ染色体もある。これらの染

色体の形態上の特徴は,核分裂をくり返しても保たれる。

 

 染色体の外側は膜でおおわれ,内部にタンパク質性の基質と,DNAと塩基性タ

ンパク質(ヒストンなど)よりなる糸状部分がある。

 分裂期にない染色体(染色糸)では,DNAと塩基性タンパク質が伸びた状態になっ

ている。DNAはヒストンが球状になったものにからみついている。このDNAとヒ

ストンの混合物をヌクレオソーム(nucleosome)という。核分裂にはいると,このヌク

レオソームがコンパクトに折りたたまれ,らせん状になる。このことは,次の図で

示される。また,ヒストンはH2AH2BH3H4がそれぞれ2分子ずつ8量体の

形で球状になり,それにDNA糸が巻きついている。もう1つのヒストンであるH1

は,ヌクレオソームを安定化させるのに働いている。

 核分裂にはいる前の間期に, DNA合成が行われることがわかっているので,分

裂を始める前にDNAの複製が終わり,量的にも倍化されている。なお,染色体に

は,ヒストン以外のタンパク質 (非ヒストンタンパク質)も,基質などに含まれてい

る。

 

 










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