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B 選択的透過性と物質の出入り
◆能動輸送
生物の体内でも,細胞の内と外とでは,イオン濃度が大きく異なっている。これ
は,まだ塩分の濃くなかった原始海洋で出現した細胞が,そのときの塩組成をその
まま保持してきているからとみなされている。しかし,そのために,濃度こう配に
逆らって塩組成を保つしくみを発達させることになった。つまり,細胞は生活に必
要な物質の吸収やイオン濃度の維持を,単なる拡散によって受動的に行っているの
でない。たとえば,消化管ではグルコース濃度のこう配に逆らって吸収することも
あるし褐藻類のあるものでは海水中に少ないIやBrを多量に濃縮している。濃度
のこう配や電位差に逆らって物質やイオンが細胞膜を出入りすることを能動輸送
という。能動輸送にはエネルギーが必要で,ATPが消費される。このことはATP生
産反応(呼吸や発酵)を阻害すると,能動輸送の能率が急激に低下することからも理
解される。
典型的な能動輸送の例は,細胞膜にあるナトリウムポンプである。これはATP
分解酵素をもち,ATP1分子を分解する際に,ナトリウムイオン3分子を細胞外へ,
カリウムイオン2分子を細胞内に移動させる。哺乳類細胞と血液のイオンの濃度の
差のデータを下に示した。差が明瞭になるようにグラフで示したり,比を計算させ
るとよい。
