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1 節 一般的な注意事項

 

以下の項目は課題研究に限らず,一般の実験の場合の注意も含んでいる。

A 実験前の注意

・実験の目的を理解し,準備を行う。材料や時間に余裕がある場合は,予備実験を行うとよい。

・実験結果を予想し,ある程度の考察をしておく。

・役割分担を決める。場合によっては分担を途中で交替するのもよい。

B 実験中の注意

・白衣を着用する。ひっかかるような物は身につけない。長い髪は結ぶこと。

・実験中には必ずメモをする。また反応途中の試薬などは必ず名称ラベルをつけておく。

・実験中にはそばを離れない。やむを得ず離れる場合は必ず大きくメモをしておく。大切な試料や試薬を他人が処理してしまったり,危険なものに触れてしまったりすることを予防するためである。また,自分の記憶力もあてにならない。A の実験が左側だったか右側だったかも忘れてしまう。

C 実験後の注意

・使った器具の洗浄など片づけをきちんと行う。片づけも実験時間に含めて考えること。

・使った薬品はむやみに流しに流さないこと。劇物はもちろん有機物は流してはならない。流しに流したものは川に流入してしまう場合が多いからである。その理由も生徒には説明しておくこと。

・紙でふき取るという片づけ方が,流すよりずっとよい場合がある。

D 遺伝子組換え実験を行うときの注意

 

試薬や器具の取り扱いと注意

・危険物に注意する。酢酸も濃度の濃いものは危険である。発火性(金属ナトリウムやりんなど)・引火性(キシレンやエタノールなど)・可燃性(フェノールなど)・爆発性・酸化性・禁水性(無水酢酸など)

・酸性・腐食性・有毒性(クロロホルムなど)・有害性(ジエチルエーテルなど)などの注意がある。

・初めて使う試験管は一晩ほど2 5 %程度の希硫酸等につける。遊離のアルカリ分が残っているため。

・試験管に取る液量は少なくする。多くても3 分の1 以下にする。

仮説の検証と報告書の作成

・仮説を検証→仮説が肯定された→次の課題を設定

・仮説を検証→仮説が否定された→仮説を修正するか,実験(調査)方法を修正する。

・発表会を行う(発表時間・発表形式はできるだけ早い段階で決定し,生徒に周知しておく)。

・発表会では簡単なレジュメ(要約)を作成させる。

・レジュメには課題研究のタイトル・研究者・目的と仮説・方法・結果・要約・(主な)参考文献を書く。

・発表をもって報告書にかえてもよい場合もある。

その他

・実験に失敗はないことを最初に教えておく必要がある。失敗した実験からも多くのことを学べる。

・統計的検定を応用するよい機会であるが,生徒は統計的検定に関する知識をもっていない。カイ二乗検定やU 検定など有効な検定があるので活用法を知っておきたい。

 

ねらい (1) 器具の扱い方は化学実験上の操作法解説などを参考にきちんと指導する。

(2) 目盛りの読み取り方法の正しい方法なども確認する。中学の学習事項は忘れている。

(3) 薬の扱い,とくに危険物の扱いには十分注意する。

 

指導上の留意点

◇ 実験方法の重要性の認識が生徒には薄い。また,事前に実験マニュアルをきちんと読んでいないのが普通である。声を出して読みあわせをすることも時には必要である。

◇ メスシリンダーやビーカーの目盛り線の読み取りかた,試験管の正しい振り方(上下に振らない) 駒込ピペットの正しい持ちかた,突沸しない加熱のしかたなどは事前に教えておく。

◇ 責任を明確にするために分担する場合はできるだけ早い段階で決めておく。実験方法も自分の担当を中心によく読むようになり,教員の説明も聞く。漠然と全員に説明するとどんな注意事項も功を奏さない。

◇ 実験中の記録の取り方はとくに重要であるが,生徒は事前に指導されたことがない場合が多い。目的に応じて測定項目や記入枠などをあらかじめ印刷しておく。とくに同じ実験を複数の班で行って比較する場合は記入項目をそろえないと混乱する。小数以下どこまで測定するかも事前に決めておく。

◇ 記入事項は絶対に後で修正しないこと。記憶によって修正すると必ず直した方が間違っている。その場でどれだけ後で見てわかる記入ができるか訓練する。実験が終わったらお互いの記入事項を見て事実を確認する。文字が汚い場合は修正させる。とくに似た数字に注意。自分が後で見てもわからないメモになっている場合が多い。他人が見て正しくわかるメモになっていること。

◇ 操作の注意事項には西山隆造『図解 初めて化学の実験をする人のために』(オーム社)が参考になる。

◇ 事故の際の対応を略記すると,@酸やアルカリは中和し多量の水で流す,A火傷は油を塗布し冷却する,B切り傷はリバガーゼなどで消毒する。

◇ アルコール温度計は製品により誤差が大きく,同じ温度を示さないので,とくに温度を比較する場合には注意を要する。あらかじめ測定して同じ温度を示す2本を選ばなければならない。

◇ 湯浅明『生物学実験 器具と薬品』(北隆館)は絶版で入手不能である。基本的な試薬の調整法などが網羅されている本は市販されていない。

◇ 生徒による発表は重要な段階である。とくに実験方法の適否を検討し,仮説を考察するよい機会である。発表の機会のない課題研究には意味がないと断定してもよいくらいである。

◇ 発表の型は教えておく。パワーポイントで発表資料をつくるにしても「タイトルと実験者」「実験の目的」「実験の方法」「実験の結果」「仮説の考察」「要約」「今後の課題」といった基本的な型は与えてもよい。あるいはモデル例を見せる。

◇ 統計的検定を生物学の実例に即して解説した日本語で読めるよい本はないが,USAにはある。講談社のブルーバックスには,統計ソフトを利用するための解説書がある。

 

 

 








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