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第4節 植物群落の遷移と再生

 

 

A 遷移

◆遷移

群集が時間の経過に伴って変化していく過程を遷移(サクセッション)という。遷移のうち,海洋に生じた新島や溶岩によって裸地になった場所に起こる遷移を一次遷移とよび,山火事とか洪水によって多くの生物群集が消失したあとに起こるのを二次遷移とよんでいる。原生林は一次遷移を経て極相に達したものであるのに対して,多くの社寺周辺の原始林は二次遷移を経た場合が多いとみてよい。

遷移は必ずしも最終的に森林を極相として終わるわけではない。教科書に示した群系それぞれが極相のすがたとみることができるわけであるから,サバンナやステップとか荒原・砂漠などの状態で,その地域の遷移が止まるこれら群系ではこの状態が極相ということになる。しかし,わが国は温・暖帯で雨量も多いので,極相を夏緑樹林または照葉樹林とする遷移がふつうみられる。二次遷移が多いが,また火山噴火の関係からの一次遷移も少なくない。近年では桜島の大噴火(大正3年,1914)に伴って流出した溶岩により,大隅半島と結びついて桜島が半島となった。このときの溶岩と火山灰でおおわれた裸地から出発した遷移は,一次遷移の記録として知られている。このように裸地から出発する遷移は乾性遷移で,このほか伊豆の大島でも乾性遷移の各段階が残されている。しかし昭和新山(昭和1823年,407mの山ができた)はまだ遷移の初期しかみられない。一方,湖沼が沼沢化・草原化してやがて森林となる湿性遷移は,多くの沼沢地とそれをとりまく山地との間で観察される。尾瀬や八甲田地域にこの遷移の各種段階を示すものを見ることができる。

動物相もまた遷移に伴って変化していく。草地ではスズメ,ヒバリなどの草食性あるいは雑食性の小鳥が多いが,陽樹林のあたりにはヒワ,ウグイスなどの小鳥や,ヒグラシ,カミキリムシなどの昆虫類が多くみられるようになる。極相ではミミズク,モズ,ツグミや,スズメバチ,ミヤマカマキリやクモ類,ムササビなどが比較的多くみられる。しかし,一般に動物は食料や気温などに応じてすみかを変えるので,植物ほど明確な分布状況はみられない。

 

B 極相の維持:ギャップ更新

◆極相

遷移が最終的に到達する状態が極相である。極相の姿は,その成立する場所の気候条件によって左右される。わが国では,西南部は,シイ・カシ・タブノキ類が優占する照葉樹林が極相となる。冷温帯では,ブナを中心とした夏緑樹林が極相となる。亜寒帯では,本州ではアオモリトドマツ(オオシラビソ)・シラビソが,北海道ではエゾマツ・トドマツなどの針葉樹が優占する森林となる。しかし,照葉樹林の極相が成立するような気候条件下でも,山の尾根筋や,風あたりの強い場所などでは,草地や低木林のままにとどまることもある。また,森林になってもカシやシイで構成された標準的な照葉樹林にならず,モミやツガなどの針葉樹林を多く含んだ森林として安定することも多い。

 

 








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