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〔実験16〕 方形枠法による植物群落調査

              教科書p.212  配当時間 2時間

 

 

【指導目標】 (1) 野外に出て自然の植物に直接触れ,身近な植物の種名を調べて,多くの植物が,それぞれに適した環境条件の場所に生育していることを知る。

(2) 植物群落の調査法の1つである方形枠法のやり方を習得するとともに,調査結果を適切に処理して結果を比較する方法を学ぶ。

【準備】 長さ1mの物差しまたは角材(各班4),調査用紙,バインダーか下敷き

【準備上の留意点】

(1) 調査の実施時期は,花や実が多く見られて植物の種類が調べやすい春(46)か秋(911)がよい。また,時間割変更などして,2時間連続にすると,結果の処理までができる。安全上からも複数の教員で引率するほうがよい。

(2) この種の調査をするときに,もっとも問題になるのは種名がわからない点である。この問題を解決するためには,次のような方法が考えられる。

@ 実習場所の目立つ場所の植物に種名を書いた札をぶら下げ,同じ種類を探させる。

A ポケット版の図鑑(長田武正著「人里の植物1・2」保育社などがよい)を班に1冊ずつ持たせて各自で調べさせる。

B それでもわからない種は教員が巡回しながら教えることになるが,その場合に口頭だけでは伝わりにくいので,事前に種名を書いておいた紙などを示すとよい。

【方法上の留意点】 (1) 時間が許せば,環境条件の異なる23か所で調査を行って結果を比較するとよい。例えば,校舎の北側()と南側()や,グラウンドの縁と中心部(踏みつけの程度)など。

(2) 方形枠を置く際には,意図的に植物がたくさんあるところを選んだりせずに,できるだけランダムに置くこと。方形枠の個数は面積にもよるが,最低10個〜できれば20個以上設けることが望ましい。

(3) 調査結果を記入するための調査用紙(CDROM内の実験ワークシート参照)を別に作成して生徒に配布しておき,これをバインダーにはさむか,調査の際に下敷きになるものを持って行き,その上に置いて結果を記入していくとよい。

(4) 被度段階は慣れないと判断が難しいので,はじめのうちはあまり厳密に考えないでよい。被度段階の「+」は,1/100以下であるが,1m×1m1/10010cm×10cmになり,ほぼ手のひらくらいの大きさになるので,手のひらで植物体がすべて隠れると+とし,隠れないくらい多いと1となる。

(5) 高さは斜めになっている茎を手で立てたりせずに,自然のままの高さで最も高いところで測定する。時間がなければ,高さの測定は省略してもよい。

(6) 各班の調査結果を集約してクラスで1つの表をまとめる。このときは,一覧表を記入する集計用紙を配布しておき,1班より順に口頭で出現した種名と被度・高さを発表していき,他のメンバーはそれを一覧表に書き込んでいくとよい。最初はすべての種名を書かないといけないが,2班目からは同じ種については被度と高さだけでよい。

(7) 被度の合計を出す場合に,10.2に,+は0.04に換算して足し合わせる。相対値は,被度合計が最大の種A40で,2番目の種B30なら,Aの相対値は100Bの相対値は30÷40×10075となる。高さについても同様に計算し,これらを足して2で割った値が優占度となる。

【結果の整理】 (1)  調査用紙は2種類用意し,1枚は班の結果を記入する小さな用紙で,これを持って野外へでかけて調査し,教室へ持ち帰ってから,教科書p.212の例のような一覧表の用紙に記入していく。

(2) これらの結果は筆算でも集計できるが,パソコンの表計算ソフトに入力して,合計・相対値・優占度の計算を行うとよい。パソコンで処理すると,データの並べかえが容易にできるので,優占度の高い種から順に種類を並べかえてプリントアウトするとわかりやすい。また,順位と優占度の関係をグラフ化するのも簡単である

【結果の考察】 教科書には,同様の調査を2か所以上で行って比較するとあるが,例えば次のような場所でそれぞれ調査を行うと,その他の環境条件がほぼ同じ場合には,下表のような結果になることが予想できる。

 

 ほかに湿った場所と乾いた場所,耕してすぐと放置した場所の比較ができる。次に,各項目について,そのような結果になる原因を考察しておきたい。

@ すべての種類数:一般的に環境条件がよい場所では,たくさんの種類の生育が可能になり,種類数が多くなる傾向がある。ただし,条件がよいと種類数は多いものの種間競争が激しくなり,特定の種類の優占度が大きくなって,他の多数の種の優占度が小さくなることが多い。むしろ,条件の悪い場所では構成種の優占度の差が小さくなる傾向が見られる。

A 一年生草本と多年生草本の割合:多年生草本の割合が,踏みつけが激しくて乾燥するグランド中央で少ないのは,条件の悪い時期には植物体が枯れてしまって,種子で耐えることができる一年生草本の方が適しているためである。

B 帰化植物の割合:外来種は明るい環境を好む種類が多く,また踏みつけなどの人為的な影響を受けやすい場所に多く生育する種類が多いことがわかる。

C ラウンケルの生活形の構成比:踏みつけに強いのは地表面すれすれに芽をつける地表・半地中植物である。また,これらは草丈が高くならないので,いつも明るい場所でしか生育できず,踏みつけが少なくなり,草丈の高い地上植物が増えてくると,地表面は暗くなるので生育できなくなる。

D 生育形の構成比:これも踏みつけの強い明るい場所では,そう生形やロゼット形が多く,縁に近づくほど直立形が増加し,垣の近くではつる植物が多くなる。

【発展】

(1) 群落調査をするだけではなく,土壌条件や照度などの環境条件を測定する。

(2) 森林でも調査を行う。森林では階層別に種名と被度段階・高さを記録するとよい。

 

 

 

 

 










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