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〔実験12〕 胚膜の観察

              教科書p.166  配当時間 1時間

 

 

【指導目標】 鳥の発生から胚膜の形成や器官の発生を確認し,胚膜の意義を考察する。

【準備】 材料 ニワトリの有精卵

 器具 台所用ラップ,湯呑み茶碗(直径4cm程度),ペトリ皿,輪ゴム,消毒用エタノール,ふ卵器(38℃の恒温器)

【準備上の留意点】

(1) 体内受精をするためニワトリの有精卵はある程度発生が進んでいる。

(2) ふ卵器は逆性石けんで霧吹きをして消毒しておく。

(3) 湿度調整用に水を入れた容器を器内に入れておく。

【方法上の留意点】

(1) 茶碗法で観察する場合はふ卵後3日目のものから始めるのがもっともよい。3日目より若い胚では生存が悪く,3日目より遅いと卵黄膜が壊れやすく取り扱いが難しい。

(2) ふ卵器に入れた有精卵の殻に穴を開ける方法もある。下から光を当てると胚の位置は赤みをおび,外からでもわかるようになる。卵のとがったほうにピンセットで穴を開け,卵白を注射器で24ml吸い取る。卵殻からやや胚盤が離れるため,卵殻に傷をつけた際に胚を傷つけなくてすむ。この穴はセロテープでふさいでおく。卵殻には11.5cm四方の穴を金物用ノコギリなどで開ける。セロファン紙(アルコールでふいて乾燥させたもの)を窓にあてがって周囲をパラフィンでとじる。セロファン紙の代わりにカバーガラスでもよい。その場合は窓の縁にプラスチックのリングなどを置く。

【発生の経過】

(1) 原条期(1620時間):明域が卵円形となり,中央に原条が現れる。原条の最先端は肥厚が激しく,ヘンゼン結節とよばれ,そのすぐ後方は溝が深く,原窩とよばれる。ヘンゼン結節の前に頭突起(中胚葉性)が生じ,後に脊索になる。

(2) 原摺期(2024時間):頭突起の前方と左右には外胚葉が肥厚する部分があり,神経板である。神経板の前に明るく見える部分は前羊膜である。

(3) 4−体節期(24時間):神経板の前縁は隆起し,やがて側方にまで及び,神経板の外縁を後方に伸びていく。この隆起を神経摺,その最前端部を後摺といい,両側の隆起にはさまれた部分を神経溝という。

(4) 9−体節期(28時間):神経摺は左右が合一して神経管となる。神経管の前方には前脳・中脳・後脳の分化が見られる。

(5) 16−体節期(38時間):心臓が明瞭になってくる。その後,48時間で28−体節期に発生する。3日胚,4日胚と時期を経て

各器官系ができあがり,21日間でふ化すると「ひな」になる。

図:久米又造『ニワトリの発生図説』1939 成美堂書店から引用

 

 

【胚膜の形成】

 は虫類以上の脊つい動物では,胚体を包む胚膜(embryonic membrane)が発生し,胚の保護,栄養,呼吸,排出などを行う。胚膜にはしょう膜(chorion),羊膜(amnion),卵黄(yolk sac),尿膜(allantois)があるが,ふ卵が終わりに近づくと,卵黄以外すべて消失する。

 しょう膜・羊膜・卵黄は胚体外に起源をもち,尿膜だけは胚体内に由来している。尿膜の一部はやがてしょう膜と融合してしょう尿膜を形成,呼吸膜として働く。発生の後期になって,この膜の一部がさらに発達して卵白を包む卵白をつくる。

 羊膜は中に羊水を満たしており,胚体を乾燥や温度の急変・機械的衝撃から守っている。膜には平滑筋がありふ卵5日目から始まる自律的な収縮による運動で,膜と胚体の癒着を防いでいる。

 羊膜では外胚葉が内側に,中胚葉が外側になるが,しょう膜では外胚葉が外側に,中胚葉が内側になる。卵黄の内面は内胚葉で外面は中胚葉である。

【参考文献】 『脊椎動物発生学』 久米又造 培風館 1966,『教材生物()

 

 










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