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〔実験10〕 磯の動物の分類

              教科書p.134135  配当時間 13時間

 

 

【指導目標】 生物の多様性に極めて富む海岸の磯や潮だまりで見られる動物を調べて動物の分類を体験する。その中で,自然分類と系統分類の違いに気づかせる。また,動物の体のつくり(体制)にも理解を深めさせる。

【準備】 海岸で磯観察するための道具(クマデ,ドライバー,ハンマー,箱眼鏡等),身の安全をたもつための道具(ライフジャケット,帽子,軍手,滑り止めのある靴等)

【準備上の留意点】 (1)  磯観察をさせる場合,周囲の安全に十分注意して行わせることが必要である。とくに夏期の観察では,熱中症などに対する対策なども必要である。

(2) 場所によっては,有毒な動物もいるので,それらに十分注意するとともに,周辺の医療機関の所在を確認しておくことも重要である。  

【方法上の留意点】  (1)  磯では干潮満潮の影響が大きいので,事前にその潮位と時間を調べておくことが身の安全にもつながり,重要である。また,沖に台風等が接近している時は,うねりや高波にも十分警戒することが大事である。さらに,地震時には津波が発生することもあるので,最新の気象情報が入手できるようにしておくことも大事である。いずれの場合も1人だけでは安全が確保されないので,必ず複数で調査を行い,誰かが全体の監視をしていることが求められる。

(2) 採集はできるだけ控え,動物分類の重要形質(検索表の項目),例えば,脊ついの有無,口と肛門の分化,体節構造の有無など,また,周囲の環境,例えば,水温の状態,塩分濃度などについて記録し,最後に周辺の状況をスケッチまたは写真に残しておく。

(3) どうしても採集して観察する場合,みだりに採集するのではなく,周辺に同一個体が多く生息するのを確認してから最少個体数を採取し,海水で濡らした新聞等にくるんで,できるだけ冷やした状態で持ち帰り,海水で濃度調整した固定液(あらかじめ,炭酸カルシウム粉末を少量,底に入れておくと保存性が高まる)中に保存する。採集しない場合と同様に基本的な動物の重要形質は採集前に記録しておく。

(4) 動物の重要形質の記録と写真(スケッチ)または標本を手がかりに海岸動物図鑑等を参照して種名を決定する。その後,図鑑の検索した動物の前後に紹介されている同一グループである,同じ属や同じ科の動物に共通する特徴や形質をまとめさせると動物分類がわかりやすくなる。

【結果】 教科書p.134に示した結果例を参考に,動物分類を体験してもよい(結果例の図参照)

【考察】 (1) 磯の動物個体数の比較では,場所にもよるが,一般的に単細胞動物の繊毛虫が多いと推定されるが,生徒がその個体数を数えるのは大変である点,また,海綿動物は群体であることから個体数を示すのが困難である点を踏まえると,原生動物と海綿動物以外で多い・少ない,を比較する必要がある。さらに,多い・少ないの数だけを問題にしても有意ではないので,数の比較からどのような意味があるのかを推定させる試みが重要であり,このことがさらなる発展につながる。

(2) 季節を変えて磯観察することは重要なことである。磯という多様な環境を磯の動物がどのようにその時々に,また季節ごとにすみわけているのかを知る貴重な手がかりになるからである。また,いた動物がいなくなるのは,その動物がどこへ移動したのか,どのように生活しているのかという別の発展につながる。

(3) 磯の調査区域を広げていくと,各動物の出現個体数が増える。その結果,その個体群がどのような分布・生息をしているのかがわかり,生態的な知見が得られ,次への発展につながる。

【結果例】 磯のようす

ミズクラゲ:刺胞動物門鉢虫綱のクラゲで,日本近海の暖海にふつうに生息。

ウメボシイソギンチャク:刺胞動物門花虫綱のイソギンチャクで,暖海にふつうに生息。

タテジマイソギンチャク:刺胞動物門花虫綱のイソギンチャクで,暖海にふつうに生息。

ツノヒラムシ:へん形動物門渦虫綱のへん形な動物で,潮間帯の岩礁に生活。

ケヤリムシ:環形動物門多毛綱の動物で,潮間帯の岩礁に固着生活。

ヒザラガイ:軟体動物門多板綱の原始的な貝で,潮間帯の岩礁にふつうに生息。

タマキビガイ:軟体動物門腹足綱の小さな貝で,満潮線付近にふつうに生息。

アメフラシ:軟体動物門腹足綱の動物で,暖海の潮間帯(春〜初夏)にふつうに生息。

アサリ:軟体動物門腹足綱の食用二枚貝で,日本近海の砂地にふつうに生息。

クボガイ;軟体動物門腹足綱の食用巻貝で,暖海の岩礁地帯にふつうに生息。

イシダタミ:軟体動物門腹足綱の巻貝で,暖海の岩礁地帯にふつうに生息。

トコブシ:軟体動物門腹足綱の片貝で,暖海の岩礁地帯にふつうに生息。

イワフジツボ:節足動物門甲殻綱のフジツボで,潮間帯の岩礁の割れ目に固着生活。

カメノテ:節足動物門甲殻綱のフジツボのなかまで,潮間帯の岩礁の割れ目に固着生活。

イソスジエビ:節足動物門甲殻綱の半透明のエビで,日本近海の浅瀬にふつうに生息。

イソガニ:節足動物門甲殻綱のカニで,日本近海の岩礁地帯にふつうに生息。

フナムシ:節足動物門甲殻綱の動物で,満潮線付近にふつうに生息。

バフンウニ:きょく皮動物門ウニ綱の日本特産のウニで,日本近海にふつうに生息。

ムラサキウニ:きょく皮動物門ウニ綱のウニで,日本近海にふつうに生息。

イトマキヒトデ:きょく皮動物門ヒトデ綱のヒトデで,日本近海の浅海にふつうに生息。

クサフグ:脊つい動物門硬骨魚綱フグ科の魚で,広く日本近海にふつうに生息。

キュウセン:脊つい動物門硬骨魚綱ベラ科の魚で,広く日本近海にふつうに生息。

メジナ:脊つい動物門硬骨魚綱メジナ科の魚で,広く沿岸の岩礁帯にふつうに生息。

 

 










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