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〔実験9〕 陸上植物の比較観察

              教科書p.124125  配当時間 1時間

 

 

【指導目標】 身の周りに分布している植物を調べて,植物分類を体験する。その中で,自然分類と系統分類の違いに気づかせる。また,コケ植物とシダ植物の違いにも目を向けさせる。

【準備】 材料 身の周りに分布している植物または植物標本(被子植物,裸子植物,シダ植物,コケ植物と明らかに異なる生活をしている4つのタイプの植物)

 器具 植物を採集させる場合は,移植ごて(根掘りスコップ等),剪定バサミ,軍手など

【準備上の留意点】 植物を観察させる場合,周囲の安全に十分注意して行わせることが必要である。とくに夏期の観察では,熱中症などに対する対策なども必要である。

【方法上の留意点】

(1) 身の周りに分布している植物のうち,被子植物,裸子植物,シダ植物,コケ植物と明らかに異なる生活をしている4つのタイプの植物に注目する。

(2) 採集せずに観察する場合,植物分類の重要形質(検索表の項目),例えば,維管束の有無,根・茎・葉の分化,胞子の有無,胚珠の状態など,また,周囲の環境,例えば日照の状態,土壌の水分条件,各植物個体群の密度などについて記録し,最後に,スケッチまたは写真に残しておく。

(3) 採集して観察する場合,みだりに採集するのではなく,周辺に同一個体が多く分布するのを確認してから,植物の全草を採取して根などに付着している土砂などをきれいに取り除いてから,乾燥した新聞の束の中で押し葉標本にする。採集しない場合と同様に基本的な植物の重要形質は採集前に記録しておく。

(4) 植物の重要形質の記録と写真(スケッチ)または標本を手がかりに植物図鑑等を参照して植物名を決定する。その後,図鑑の植物の前後に紹介されている同一グループである,同じ属や同じ科の植物に共通する特徴や形質をまとめさせると植物分類がわかりやすくなる。

(5) コケ植物とシダ植物(できれば,種子植物との比較も)については,その生活史の違いを含めて事前に説明しておくことが望ましい。

【結果】

(1) 教科書p.124に示した結果例を参考に,植物分類を体験してもよい。

(2) コケ植物とシダ植物(種子植物も)の比較について

 コケ植物の本体(本体とは,その植物を代表する状態の体で,生活史の中の大半を占める。)は,配偶体(n)で相対的に小形である。しかし,シダ植物の本体は,胞子体(2n)で相対的に大形である。種子植物もシダと同様に,その本体は,胞子体(2n)で相対的により大形である。また,コケ植物やシダ植物では,精子が造精器でつくられ,造卵器の中の卵に雨や水しぶきなどによって水中を泳いで受精するのに対し,種子植物の多くは,胚珠の中の卵細胞に,花粉内でつくられる精細胞が花粉管によって運ばれて受精する。すなわち,受精に水を媒介させる必要がなく,雨や水分供給が少ないより乾燥した内陸でも子孫を残して繁殖できるようになっている。

観察記録@

 高さ約7m の樹木。葉は枝に互い違

いにつき,網目状の葉脈がある。花に

は,筒状で5 つに裂けたがくと,5

の花弁があり,おしべは多数,めしべ

1 つある。子房の中に胚珠が1 つあ

る。

 

観察記録A

 高さ約10m の樹木。長い枝と短い

枝がある。葉脈は2 又に分かれて広が

る。雄花と雌花があり,がく片や花弁

はない。胚珠は裸出している。

 

観察記録B

 葉は長い柄があり,葉身は羽のよう

に細かく分かれる。葉の裏側に胞子囊

群がある。茎は地中を横にはっている。

胞子囊をつけた葉の下の地面に,ハー

ト形をした前葉体を見つけた。

 

観察記録C

 比較的湿ったところに群生する。本

体(配偶体)には,はっきりした根や維

管束はない。雄と雌の体があり,雌株

の上には受精後,胞子体ができ,胞子

囊が1 つだけある。

 

 

【発展】

 各地の植物園や博物館で実施されている植物の観察会などに参加して,さまざまな植物の分類について慣れることも有意である。

 環境省や地方自治体,または各地のNPO法人が主催する植物(環境)調査に参加して,分類の技術を磨くことも有意である。

 

 










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