トップ生物II>第1部 分子からみた生命現象>〔実験3〕 脱水素酵素の反応

〔実験3〕 脱水素酵素の反応

              教科書p.32  配当時間 2時間

 

 

【指導目標】 (1) 好気呼吸の過程で,呼吸基質から水素をはずす脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)の働きによる脱水素反応をメチレンブルーの色の変化をもとに調べ,好気呼吸の一端を理解する。

(2) メチレンブルーは,酸化・還元(水素の除去・付加)によって色が変化するので, 他の化学反応の実験にもよく用いられる。いろいろな実験の基礎として用いられるメチレンブルーの色の変化(青色無色)について理解を深める。

(3) ツンベルク管は,低酸素条件下の実験環境をつくり出せる。この装置を用いての実験と比較させる。

【準備】 材料 新鮮なニワトリの胸筋,アサリなど

 器具 ツンベルク管,水流ポンプ(アスピレーター),乳鉢,乳棒,試験管,ビーカー

 薬品 2%コハク酸ナトリウム水溶液,0.8%メチレンブルー

【予備実験】

(1) 以下の実験でメチレンブルーには,酸化型と還元型で色が異なることを理解する。

(2) このとき,少しややこしいが「酸化」=酸素と結合=水素が離れる。「還元」=酸素が離れる=水素と結合。この程度にまとめておいた方が後の実験での混乱を防ぐことができる。とくに水素での定義をしっかりとおさえておきたい。

(3) この実験からメチレンブルーの色の変化によって水素の移動が確かめられることが確認できる。

【準備上の留意点】 (1) ニワトリの胸筋(ささ身)は新鮮なものを入手すること。

(2) アサリも新鮮なものが必要で,砂ぬき後長時間たったものは避けた方がよい。3%食塩水に浸し,足や水管を伸ばすようならよい結果が得られる。

(3) パンづくりなどで使うドライイースト(乾燥酵母)は,適量を水に溶かして粗酵素液とする。ドライイーストはスーパーなどで購入でき,もっとも手軽な材料である。

【方法上の留意点】 (1) アサリのすりつぶし液(粗酵素液)は次のようにしてつくる。

 

 

(2) 0.8%メチレンブルー溶液の滴下の際,多く入れすぎないように注意する。入れすぎた場合,かえって色の変化が確認しにくくなる。

(3) 試験管内の液と酸素(空気)とのかくはん方法は,試験管上部を持ち,底をもう一方の手のひらに軽くたたきつけるようにするとよく混ざる。

(4) 粗酵素液に触れた器具は,実験後時間がたつと,洗っても汚れが落ちにくくなる。なるべく早く十分に水洗いする。

【補足】 試験管を4(AD)用意し,次のように温度条件のみを変えて実験を行ってもよい。脱水素酵素の働きが強ければ,短時間で多量の水素がはずされる。そのためメチレンブルー溶液が脱色されるまでの時間は短い。脱色までの時間が短いほど酵素の働きが強いと考えることができる。この実験では温度条件をうまくコントロールすることが要求される。

【発展】 酸素があると,脱水素酵素が働いて基質からHがはずされてMbH2になっても,このHO2と結合してMbに戻ってしまうので青色のままで脱色しない。つまり酵素が働いているのに,メチレンブルーは脱色せず,見かけ上酵素は働いていないことになってしまう。そこで,ツンベルク管,水流ポンプ(アスピレーター)を用いると,酸素の少ない状態にできるため試験管による実験では青色のままであった液の表面部分も,反応により無色となる。また,試験管を使った場合,ピペット操作により液を順に入れていくので手間取ることが多く反応を進めてしまいがちである。ツンベルク管では液を主室と副室に分けているので素早く混合ができる。

【方法上の留意点】

(1) ツンベルク管は主室と副室のつなぎ目が注射器のようにすりあわせになっていて,両者の空気孔を合わせると外気と通じ,ずらすと遮断される。すり合わせにはグリースやワセリンを塗るが,塗り方は,副室のすり合わせの穴の上下に少量グリースやワセリンをつけ,主室と結合したのちゆっくりと回転させてなじませる。穴をふさがないように注意する。また塗る量が少ないと排気後副室を回転できなくなることもあるので注意する。

(2) 水流ポンプ(アスピレーター)で減圧すると主室,副室の液が沸騰するので沸騰が止まるまで減圧を続ける。減圧が終わったら必ず副室を回して空気孔を閉じてから水道水を止める。逆に行うと水道水がツンベルク管内に逆流する。

(3) 実験室で一斉に水流ポンプ(アスピレーター)で減圧を行うと水圧が下がることがあるので注意する。

【参考】 脱水素酵素は,呼吸や発酵において重要な役割をもち,広く生物に存在する。










本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009-2012 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.