トップ生物II>第5部 課題研究>第2章 実験研究>第2節 実験研究の具体例 呼吸量の測定>〔実験研究テーマ例 (2)〕 他の植物の成長を調節する物質

〔実験研究テーマ例 (2)〕 他の植物の成長を調節する物質

教科書p.274

 

 

【指導目標】 他の植物の成長を抑制する化学物質を根から出している植物としてセイタカアワダチソウを選び,他感作用を例に生理生態的な実験の設定法を学習する。あわせて,本種が侵入し,帰化した理由を他感作用で説明できるかどうかを考察する。

【準備】 セイタカアワダチソウ Solidago altissima の根,オオバコ Plantago asiatica の種子またはコマツナの種子,ペトリ皿,ろ紙,はかり

【準備上の留意点】 セイタカアワダチソウは多年草なので,花のない時期にでも,根を掘り取ることが可能である。オオバコの種子は冬季以外は,ほぼ一年中採取できる。オオバコよりやや大きいトウオオバコもふつうに海岸などに自生する。市販されているコマツナの種子も使用できる。オオバコでは,短日低温下で登熟した種子は休眠性が強いため,違った時期に採取した種子を混ぜて使ってはならない。種子の日長性は短日性であるため,長時間の連続光照射によって発芽率が低下する。短時間の光照射では高い発芽率を示すので暗発芽種子ではない。

【方法上の留意点】 実験区と対照区の設定も簡易であるため,とくに留意すべきことはないが,光条件が種子に与える影響に注意する。

【他感作用の例】 アレロパシーとはH. モーリッシュ(1937)によると,「ある種の植物がつくり出す化学物質が環境に放出されることによって,他の植物に直接または間接的に与える有害作用」と定義されている。気体のエチレンもアレロパシーをもつ物質である。セイタカアワダチソウの他感作用物質はポリアセチレン化合物のひとつ,DME(2−シス型デヒドロマトリカリア・エステル)とされ,遷移の前段階の優占種ブタクサにも,次の段階のススキにも阻害的に働くばかりでなく,自らの発芽にも阻害的であった。

 多くの植物で他感作用を示す化学物質が発見されている。それらの一部をあげる。

@ 降水による溶出の例:セイヨウナシやナガバユキノシタの葉からアルブチン。ナナカマドの実や種子からも。

A 大気を介して伝播する例:サルビア属の植物の葉からテルペン類。ヨモギ属の葉からも。

B 土壌を介して伝播する例:モモの根からアミグダリン,リンゴの根からフロリジン,麦類の根からスコポレチンやクマリン,シバムギの枯死した根からフェノール酸など。

【帰化植物の侵入】 セイタカアワダチソウは明治末期に北アメリカから日本に侵入したと考えられる。アメリカでは花の少ない時期に蜜蜂の蜜源として重要な植物であった。日本で分布が急激に拡大したのは第二次世界大戦後である。虫媒花なので花粉症を起こす植物ではない。

【参考文献】 『環境植物学』 田崎忠良(編著) 朝倉書店 1978,『種子生物学』 鈴木善弘 東北大学出版会 2003

 

 

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009-2012 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.