トップ生物II>第3部 生物の多様性と進化>第2章 生物界の変遷>第3節 人類の誕生

3節 人類の誕生

 

 

A 樹上生活への適応 

B 直立二足歩行

◆ヒトの進化

アルブミンを用いた研究からヒトと類人猿の遺伝的距離を比較すると意外にヒ

トは類人猿と近縁であることが分かった。特にチンパンジーとの距離は近く,この

程度の相違は姉妹種よりも近い。核型(染色体の形態研究)からも両者が近縁である

ことは知られていたが,DNAの違いに換算して1.2%という非常に近い近さである。

 ではなぜヒトはヒト化Hominizationしたのだろうか。それには直立二足歩行があっ

たと考えられる。直立二足歩行の前にいったん樹上生活に適応することによって,

視覚の発達,前肢と後肢の分化,肩関節の回転,栂指対向性,平爪などの形質を進

化させた。そして,ヒトの祖先は500万年前から1000万年前に,森林が縮小した

ことをきっかけに樹上生活からサバンナへ進出し,直立二足歩行を発達させた。そ

のときゴリラの祖先は森林への退却を選び,チンパンジーはその後で開けた林へ移

動したのであろう。直立二足歩行が他のさまざまな進化をもたらした。

 

 20世紀の初めには,人類の起源について対立する2つの説があった。ひとつは二

足歩行より先に脳の発達があったとするもの,もうひとつは二足歩行が脳の発達に

先行するものだ。ヒトの頭とオランウータンのあごを組み合わせた偽造物,ピルト

ダウン人は脳先行説に都合が良かった(ピルトダウン人が偽物ということが明確に

なったのは1953年である)。また,1924年,ダートが南アフリカで発見した猿人(

ウストラロピテクス・アフリカヌス)がなかなかヒト科と認められなかったのは,脳

が小さかったからである。

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009-2012 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.