トップ生物II>第2部 分子からみた遺伝現象>第2章 遺伝子制御>第1節 タンパク質合成の制御

1節 タンパク質合成の制御

 

A 遺伝情報に含まれるもの

◆遺伝情報に含まれるもの

 生命活動はタンパク質酵素の働きによる。タンパク質以外の生体物質もタンパク質

酵素によって作られる。したがって,どのタンパク質をいつ,どこで,どれだけ作る

かの情報が生命活動の情報,遺伝情報ということになる。GATC4つの塩基

にその情報はすべて記されているはずである。(もっとも一部の塩基にはメチル化とい

う修飾がある。これも実は遺伝子発現の制御に深く関与しているのかもしれない。)

る領域がアミノ酸をコードしていることが確実であるのなら,それはいわゆる遺伝暗

(トリプレット)を元にコードしているタンパク質のアミノ酸配列を推測することが

できる。前節で説明したように,コドンがずれた3種類の可能性があるが,コドンが

ずれると多くの場合,停止コドンが頻発しているので,だいたいはアミノ酸配列を特

定することができる。どの読み枠でも停止コドンがどんどん出てくるようであれば,

それは,エクソンでもアミノ酸非コード領域,あるいはイントロンと推測する。

 アミノ酸をコードしている領域より5側の上流に(そこに転写因子が結合するので)

そのペプチドの合成を制御する配列があるが,ゲノムのかなり離れた領域からも制御

されており,まだ解明に至っていない。ヒトゲノムの塩基配列から遺伝子の数は3

個程度と報告されているが,この数も今後の研究によって変動する可能性がある。

 

B だ腺染色体

◆パフ

 だ腺染色体では縞模様のところどころに,ぼやけたふくらみが見えることがある。

これがパフとよばれるもので,これが発生の時期によって,移動したり大きさが変化

したりする。だ腺染色体がよく観察されるのは,羽化の近い幼虫に限られる。しかし,

だ腺染色体と似たものが,マルピーギ管その他の内臓器官でも観察されており,時期

が同じでも器官が異なれば異なる位置にパフが見られる。パフの位置ではRNAの存

在が確かめられている。パフができるのは染色体を構成しているDNAがほどけて伝

RNAの合成がさかんに行われているものと考えられている。

 ユスリカの実験で,前胸腺ホルモンを幼虫に注射すると,特定の位置にパフが生じ

ることが見られている。パフの大きさや継続時問などは,ホルモンの濃度に比例する。

正常の状態でパフができたり,消失したりするのもホルモンの作用であろうと考えら

れている。

 

 








本サイトに掲載された記事や画像の無断転載を禁じます。
Copyright(C) 2009-2012 SHINKOSHUPPANSHA KEIRINKAN CO.,LTD. All rights reserved.